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呼吸に浅い乱れ ページ34

熱に浮かされる意識の中で、濃紺のシルクを抱きすくめる。

ぼうっとする。

こんな時に思い浮かぶのはいまみんな何をしているのかなということだけ。

ゼンお兄様と兄上はきっと公務をしているわ、いえ、お兄様は脱走していたりして。

お兄様は昔から脱走壁が治らないから、ミツヒデと木々は今もそんなお兄様に追随して支えてくれている。

ミツヒデと木々、彼らは同じ側近という立場にいることもあってガレスと仲が良い。

ガレスは薬室長と姉弟で、優しくて、あの姉弟はいつだって私を支えてくれる。

リュウは大切な友達。
大事な、仲間。

他にもリリアスにいた頃の学者仲間、城下町の私の存在を知る顔なじみ。

政治的な策略にもまれることは決して少ないとは言えないけれど。

こうやって笑顔を向けてくれる人がいる。私ってばすごく恵まれてる。


天蓋の星空を見つめていると、ぬるいゆりかごに抱かれているよう。

赤子が意味もなく眠るように。
私も暇で仕方がないからさっさと眠ろう。


ゆらゆらと、星空が揺れる。


***


王女の私室に行くまでには大きな長い廊下がある。

長椅子と肘掛椅子のあるこのつなぎの間には衛兵が常に数名待機していて、さすが王族のプライベートゾーンだなと実感した。

赤い絨毯の先には大きな扉がある。
その向こうには書棚のある部屋と護衛の部屋二つ、そして王女の私室がある広間が広がっている。

許されたものだけが入れる場所、おれは薬剤師としてそこへの入室が許可されている。

そんなおれはいま待機中のため肘掛椅子に座っていた。
沈み込むような感覚は眠気を誘う。
さすがにこんなところで微睡むだなんて失礼なことはしないけど、時々おれを見てくる衛兵の視線がかわいらしい子供でも眺めるような温かい視線でちょっと居心地が悪い。

ああいう人にはどう対応して良いのか解らない。

愛想なんて元から持ってない。

子ども扱いも、されたことがない。

あたりをふと見渡すと、見目麗しい色彩が見えた。
白大理石の広い廊下には三段ほどの階段がある。

そこにはガレスさんが立っていて、おれのことを見ていた。

「リュウ、お疲れ」

「あ……ありがとうございます」

この人とはどう距離を取ればいいのか解らない。
悪い人ではないけど、もともと人との付き合い方の正誤は俺にはよく判らないし。

「ちょっと、君と話がしたくてね」

「! おれとですか」

「ああ、気を使わなくて良いよ。そんなかたっ苦しいものではないから」

31時間後安定。→←7時間後発熱



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天泣tenkyu(プロフ) - 黒髪の白雪姫さん» こちらの作品も読んで頂けるとはっ、とても嬉しいですありがとうございます(*^_^*) (2018年2月5日 23時) (レス) id: 141d644f20 (このIDを非表示/違反報告)
黒髪の白雪姫 - お久しぶりです(〃^ー^〃)この作品にお邪魔します♪凄く面白いです!( ^ω^ ) (2018年2月4日 16時) (レス) id: efdbcf38a9 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:天泣 | 作成日時:2017年11月29日 22時

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