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使用人たちは慣れた手際で私にドレスを着せていく。
こういう時ばかりは私も自分では着ないで任せきりになる。
まだ仮縫いだから変に破いたりしても申し訳ないし。

彼女たちは白いレースのペティコートの上に、春色のドレスを着せていく。

一着目は可憐な雰囲気の白と薄赤の使われた桃の花のような可愛らしいドレス。

「綺麗ですわっ」

「まあ、妖精のように可愛らしいっ」

彼女たちがキャッキャと賞賛の声をあげる。
その声を聞きながら、私は用意された鏡の前で一回りする。

「髪色とレースがどちらも淡い色だから首元がぼやけてしまうわね」

私や兄達のような髪色だと淡い色ばかりだとぼやけてしまう。
兄達は国色でもある鮮やかな蒼を着ることが多いかしらね。
私も圧倒的に蒼を着ることが多いけれど、茶会の時は季節に合わせた色合いにしている。

こういうところ"ご令嬢"ってめんどくさいわよね。
私自身季節ごとの風情は感じるけれど、別に年中青色を着ていても良くないかしら。
センスがないって思われるのは癪だからしないけど。

「首元がもっとしっくりくるように薔薇色のリボンとカメオを付けましょうか」

仕立て人と私が相談を重ね、使いが横で手帳に記していく。
仕立て屋というのはつくづく芸術家のようだと思う。
色に形に素材。
すべてをいかそうとするのだから凄いわ。

私はそっち方面は人並みだからなぁ。


閑話休題。


私はあまりドレスに散財しない代わりに一つのドレスにそこそこ時間をかける。
普通は任せきりだったりだったり一回話をするだけだけれど、彼女とのお茶は楽しいし。
こうして何度か話を重ねている。

あと季節に合わせたドレスを二着、行事用の深い蒼のドレスを二着試着した。

あとなんだかんだで必要な普段着を頼んだ。
成長期なのかな、最近少し背が伸びてきているからこれから服を作ってもらう頻度が増えそう。

乗馬もできるようにとズボンにしてもらった普段着は、レースとフリルがたっぷり使われたブラウスと花模様が入った深緑のジャケットでとても素敵だった。

これなら着ていてもハルカ侯爵も何も言わなさそう……。
まあ私はハルカ侯に何か言われたことは少ないけれど、はっきり言って私は仕事はできるし邪魔はしないし、彼自身ちゃんと分かってくれる大人だし……。
ただ一回色々あって兄の服着たらちょっとお小言を頂戴しただけなんだけど。

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天泣tenkyu(プロフ) - 黒髪の白雪姫さん» こちらの作品も読んで頂けるとはっ、とても嬉しいですありがとうございます(*^_^*) (2018年2月5日 23時) (レス) id: 141d644f20 (このIDを非表示/違反報告)
黒髪の白雪姫 - お久しぶりです(〃^ー^〃)この作品にお邪魔します♪凄く面白いです!( ^ω^ ) (2018年2月4日 16時) (レス) id: efdbcf38a9 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:天泣 | 作成日時:2017年11月29日 22時

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