緑青と回章 ページ2
木枯らしの吹く森の合間に、白銀の人影が見え隠れしていた。
キョロキョロとする人影を先導するのは、騎士服に身を包んだまだ若き青年。
城内の森は人通りも少なく、その童話の挿絵めいた光景を見るものはいなかった。
そんなプロローグのつきそうな状況ではあるけど……。
つい先ほど私は散歩中に小さな怪我をしてしまった。
大したことないと言ったけれど、護衛のガレスが大騒ぎするから仕方なく薬室へ向かっている。
「姫、薬室に行くのが楽しみなんですか？」
前を歩いていた護衛、ガレスが振り返り眉を下げる。
なんでバレたのかしら。
薬室には”彼”がいるかもしれない。噂を聞いてなんとなくこの城の最年少薬剤師と思い出の中の友人が同じなのではないかと考えたのだけれど。
自分よりも頭三つ分背の高い護衛を見上げ、口を開く。
「たかが引っ掻き傷だけれど、仕方なくあなたに言われていくだけよ」
分かった？ とガレスに念をおすように言うと、よく分からなそうな顔をしつつ頷いていた。ガレスはもっとレディの気持ちを解るようになった方がいいわ。
森を抜け、薬事塔にたどり着く。
薬室の前まで来ると、私はガレスを扉の前で待機させ応接室の椅子に腰掛けた。
備え付けの呼び鈴を鳴らすと、しばらくして応接室へ向かう足音が響く。
ゆっくりと扉が開けられ、そこには同い年ほどの少年が立っていた。
白い肌に、少し跳ねた猫っ毛の黒髪。
気だるげに伏せられた
ウィスタル城の薬室にはとても若いリュウという薬剤師がいる。
北の城に居る時にそんな話がよく話題に登っていた。
彼の瞳に、夢の中で見たような懐かしさと切なさに苛まれる。
いつも難しそうな本を抱え私のそばを歩いていた少年。
彼の顔が優しげに、はにかむ光景が＿＿＿＿。
「……王女殿下、どうされましたか？」
声変わり前の少年にしては落ち着いたその声に、ハッと現実に引き戻される。
この反応……やはり違うのか……？
「その、野良猫に引っかかれてしまって。水で洗ったのですが血があまり止まらなくて」
袖口にも少し血が滲んでいる。リュウは冷静にそれを見て、薬室長を呼ぶべきだと思いたつが、今はちょうど席を外していることを思い出した。
王女の傷も早急に手当しなければならない。
リュウは王女の傷を
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天泣tenkyu(プロフ) - 黒髪の白雪姫さん» こちらの作品も読んで頂けるとはっ、とても嬉しいですありがとうございます(*^_^*) (2018年2月5日 23時) (
レス) id: 141d644f20 (このIDを非表示/違反報告)
黒髪の白雪姫 - お久しぶりです(〃^ー^〃)この作品にお邪魔します♪凄く面白いです！( ＾ω＾ ) (2018年2月4日 16時) (レス) id: efdbcf38a9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：天泣 | 作成日時：2017年11月29日 22時
