6時間経過 ページ32
長いこと部屋に響いていた筆記音を、ペンを置いて終わらせる。
「終わったわ」
「お茶の用意をさせましょうか、言ってきますね」
私の補佐を終えて本を読んでいたガレスに頼むと、私は書斎椅子から長椅子に移動した。
毒薬投与から数時間、私はさっさと執務を終わらせると休憩に入った。
特にこれといった不調はなく、今までいつも通りに過ごしてきた。
ただこんな風に何にも気が付けずに毒に侵されることがもしこの先あったとしたら……そう思うと怖くてしかたがない。
「姫、お体に何か不調はありせんか？」
「特にないわ……いや、少し寒くなってきたわね、発熱の前兆かしら」
どこからともなく寒気が襲ってくる、いよいよ体が震えだしたら完全に毒の作用が出てきたことになるわ。
「殿下、カモミールでございます」
「ありがとう」
すっと差し出されたティーカップを受け取り、女中に礼をする。
「そういえばガレス、先の報告書で私が鉱山関係者と話を進めていた件のことで進展があったわよ」
リリアスにいたころ、見聞を広げるため視察に赴いた場所で私はいい山を見つけた。
お金がなくて掘り進められない上に貴族連中は金や銀でもない石ころに興味はないといわんばかりのすたれた鉱山。
いかんせん学者気質のわたしは興味がわいてきて、伝手のあった鉱物学者と調査に行ったらその鉱山にはあるものがあった。
「嗚呼、ジオード鉱山の話ですね」
そう、その鉱山で取れる石は
ふもとの村ではよく河原に結晶が落ちていることで多少は出回っていたみたいだけれど、鉱山の権利を手に入れてパーッとお小遣い稼ぎをしようと思いたった。
「私の瞳と同じ綺麗な青のジオードがたくさんとれるって報告が上がったのよ」
「好調で何よりですね」
「ええ、市場には調整しつつ出すつもりよ」
この鉱石は鑑定士曰くまだ市民層では青い結晶としてしかとらえられていないらしい。
名前は新しくこちらでつけることになったのだけれど。
「彼らに鉱石の名前の案をもらったの……というか彼らにはすでにその名前で祭り上げているらしいけれどね」
そう言ってガレスに紙を渡す。
「これは……良いじゃないですか」
「私の名前だなんて……ちょっと恥ずかしいけれどね、そのうち彫金師に装飾品を作らせるつもりよ。まあ献上品でどちらにせよ贈られるとは思うのだけれど」
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天泣tenkyu(プロフ) - 黒髪の白雪姫さん» こちらの作品も読んで頂けるとはっ、とても嬉しいですありがとうございます(*^_^*) (2018年2月5日 23時) (
レス) id: 141d644f20 (このIDを非表示/違反報告)
黒髪の白雪姫 - お久しぶりです(〃^ー^〃)この作品にお邪魔します♪凄く面白いです！( ＾ω＾ ) (2018年2月4日 16時) (レス) id: efdbcf38a9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：天泣 | 作成日時：2017年11月29日 22時
