こんにちは、誰でしょう (ページ6)

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こんにちは、誰でしょう　6 ページ6

ナースステーションにいって、外出を伝える。とはいっても、紙を見せるだけだが。

『外出してきます。退院したあとに住む家の方にいってきます。夜には帰ります。』

「…はい。了解です。ちゃんと時間は守ってくださいね。遅くなるときは連絡をいれること。…まあ、ーーさんはしっかりしているので、大丈夫でしょうけど。あと、ちゃんと薬はもってくださいね？」

『分かってます。ちゃんと持ってますよ。』

薬というのは、精神安定剤だ。たまに不安定になってしまうので持っていないと危ないのだ。

いってらっしゃい、と見送られて外を目指す。病棟からは少し遠いのだ。

…今日は人が少ないな。まあ、病院に患者がいないというのはいいことなのだが。

さて、やっと外に着いた。

駅へ向かう。切符の買い方なんかは覚えているため、問題はなかった。ただ、どこ行きの電車に乗ればいいのかが分からない。仕方がないので窓口で聞くことにした。

『すいません。人吉市までいきたいんですけど、どこの駅で降りればいいですか？』

「…ん？ああ、人吉市ね。あー、言葉は分かるかい？」

『はい、大丈夫です。』

「そうかい。人吉市なら、二番線の○○行きの電車だよ。そこの七辻って駅で降りればいいんだ。」

『ありがとうごさいます。助かりました。』

「いいってことよ。なんのようかは知らないが、無事にたどり着けるといいな。」

駅員さんがやさしかった。おかげで、無事に人吉市までたどり着くことができた。

(ここが、俺の住むところか)

住所をみながら家を探すと、かなり立派なところだった。まあ、周りと対して変わらないが。これも田舎だからこその規模なのだろう。
近所を散歩してみると、隣の家まで五分近くかかった。藤原さんというらしい。そこを通り過ぎ、自然豊かなあぜ道を歩く。のどかでいいところだ。
途中、七辻屋という和菓子屋があったので、お饅頭を買ってみると、とてもおいしかった。引っ越してきたらここに通おうと心に決め、また歩き出す。