じゅーはち ページ18
焦凍は、それほどまでにAに依存していた。
彼女と同じ道を進みたいと、
離れたくないと、心から願っていた。
つまりそれは、
強引に言ってしまうならば、
愛であり、絆であり、道だった。
けれど、このことを理解するには、
二人はまだ幼すぎる。
焦凍は、ただただAと一緒に居たいと思っていた。
これからもずっと。
だから。
離さないように、遠くへ行かないように、
Aと、一緒の未来を歩むために、
焦凍はAの腕をつかみ、叫んだ。
「Aちゃんは、ヒーローになれる!!」
『!!』
「だって、リンゴ、おいしかった!!
一緒にいて、楽しかった!!
僕のことを、何回も笑顔にしてくれた!!
戦うのは僕がする!!僕が、Aちゃんを守る!!
だから!!
_______一緒に、ヒーローになろう!!」
『しょー、と、く』
焦凍の瞳はどこまでもまっすぐで、
伝えられた言葉は、どこまでも熱くて。
Aは焦凍から目が離せなくなった。
『いい、の？』
辛うじて。
吸い込まれそうなその瞳に向かって、
辛うじて発した、弱弱しい、か細い声。
「約束、する!」
それに反するように、
焦凍は力強く肯定した。
ぐいっと、小指がAの目の前に差し出される。
「約束、する。
僕が、Aちゃんを守る。」
『!!』
それは、Aの心を救い上げる、
温かい言葉。
Aは胸いっぱいになって、
言葉が出なかった。
目の前で真っ直ぐとこちらを見てくれている焦凍が、
自分を支えてくれると言ってくれた焦凍が、
Aには、ヒーローに見えたのだ。
自然と、指が絡まる。
Aが、たどたどしくおいたその小指を、
焦凍はきゅっとつかみ、指切りをした。
きっと、きっと、守って見せるから。
空の満月に向かって。
二人は誓う。
これからずっと、一緒にいることを、
二人で、ヒーローになることを。
______そしてそれを、陰から見守る、女性が一人。
.
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作者名：雪兎 | 作成日時：2017年7月1日 20時
