【僕のヒーローアカデミア】君と私と約束を【轟焦凍】 (ページ13)

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じゅーさんページ13

月日は巡る。
だんだんと冷たくなっていく空気の中、
焦凍は、焦っていた。

いや、焦っていた、というよりも、
心に、余裕がなくなった。

というのも、焦凍の５つの誕生日が近づくにつれ、
だんだんと父、エンデヴァーの英才教育に
熱が入ってきたのだ。

朝や夕方の簡単な指導だけでは、終わらなかった。
遂には、Aと会える、唯一の昼下がりの時間でさえ、
エンデヴァーによる稽古でつぶされて。

次第に、焦凍が、Aに会える日が少なくなっていった。

それでも、Aに会える日は、
つまり、エンデヴァーが仕事の日は。
朝からワクワクして、仕方がなかった。

いつの間にか、
焦凍のそばには、Aがいて。
隣で笑っていることが当たり前のようになっていた。

『しょーとくん、昨日もしゅぎょーしてたの?』

一方Aは、
最近めっきり焦凍と遊べる時間が短くなってしまい、
すっかりご立腹の様子で。

毎回ちょっと、不満げではあるが、
その分を埋めるかのように、Aははしゃぐ。
子供ながらに精一杯満喫してやる、
といった感じで。

『でも、しょーとくんが
こんなにしゅぎょーしてるなら、
きっと、しょーとくんはすごいヒーローになれるよ!!』

そうして、必ずこういうのだ。
屈託のない、自然な笑みで。

焦凍にとって、
それがなによりの支えであった。

いつか、ヒーローに。

Aとの約束を思い出して、
ぐいっと前を向けば、
どんな辛いことでも、たいていは耐えることができた。

「うん、頑張る。

だから。」

Aの励ましに対して、
焦凍はいつもこう返す。

それは、一人にしないで欲しい、
という欲望が生み出した、鎖のように。
離れないでという、欲求のように。

「Aちゃんも、

一緒にヒーローになろう。」

そうしてなければ、
焦凍を支えているものは、崩れてしまうから。
焦凍は、無意識のうちに鎖をつないでいたのだ。

自分と、Aを、つなげておくための鎖。

自分が、壊れてしまわないための鎖。

『うん、約束!!』

その返事である内は、
その返事が聞けているうちは、
自分はまだ、大丈夫。立っていられる。

焦凍と、Aをつなぐ約束。

それは、焦凍を守るためのように、
まだ、しっかりとつながれている。

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