七話 ページ8
体を透明化し、家を抜け出す。靴は履いていないが、どうでもいい。商店街に出ようと思う。
だけど、人が多い。
何もしてこないはずなのに、体が震え出す。
___殴られるのではないか
____叩かれるのではないか
そんな考えが頭をよぎる。…やっぱりやめよう。
そう思い、足を動かそうとすると路地裏にとても大きい人が見えた。体は震えたままだが、もしかしたら、なんて思い声をかけてみる。
『…っす、すみません。』
声をかけると、首が折れるんじゃないかという勢いでこちらを向く。後退りしてしまうものの、声をかける。
___助けて___
声を振り絞り、出来るだけ大きい声で助けを求める。
なのに、オールマイトは私の横を通っていく。
突然のことに思考が停止した。
だが、すぐにもう一度裾を掴み伝える。
だけど、止まるどころか振り返ってすらくれなかった。個性は解いている、後ろにいたヴィランとも目があったから聞こえてたはずだ。
なのに、なんで？
個性が発現してから泣いたことなんて一度もなかったのに、涙が出てくる。
その後ろでオールマイトは
「もう大丈夫！何故って？私が、来た！！」
なんて、正義のヒーローみたいなセリフを民衆に向かって言っている。その言葉は、私には一生向かないんだろうな。
諦めがついた私は、個性を使い家の檻に戻る。
ショックだ。
みんなが見ているオールマイトは何？
どうせ、ヒーローも偽善者か。
ヒーローがいるから、ヒーロー気取りしてるからヴィランが生まれるんだ。
少しだけ見えてた希望は、一瞬で砕かれた。
私は助けてくれないんだ。何のために外にあったのだろう。
そんなことを考えていると、いつの間にか眠っていた
【彼女の声はだれに届く？】
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