六話 ページ7
あの人のストレスが溜まったら、暴力を振られる。
そこに、多分私の母かな。うん。母の方も加わった。
気が済んだら、帰る。そして、手当てをする。
これの繰り返しで、1ヶ月が経とうとしていた。
まぁ、時計がないからただの体内時計だけど。
この1ヶ月間、あの人がいない内に個性の練習をしていた。そのおかげで、何事にも縛られないという意味の個性として使うことができるようになった。
私も最初聞いた時はあの人たちと同じように没個性だと思っていたので、少し嬉しい。
感情を感じたのは1ヶ月ぶりだ。
ただ、私はあの人たち。つまり、私の親のことしか知らないのだが人間=怖いという考えを持ち始めていた。
その為、三週間に一度使用人がご飯を持って来てくれるのだが使用人に対しても“怖い”と思うようになった。
『…痛い』
そう呟くと近くにいたのだろう。
また、殴られる。最近は骨が折れてなかったのに、折れちゃったなぁ。
痛みなんて慣れたつもりだった。
だけど、まだ心は慣れてなかった。
だって、仮にも親なんだ。最初の頃は気にしてなかったのに、後から気になりだす。
殴られた後、使用人がくる。
「お食事をお持ちいたしました。」
こうやって丁寧にしてくれるけど、体が震えだす。
だって、実際は中には毒。与えられるのは三人の残飯。私は、残飯処理機じゃないんだけどなぁ。
そう思いながらもご飯を食べる。
毒には耐性がついて来たので今では身体のだるさが少しあるくらいで収まっている。
変な味がつけられているのか、吐きそうになりながらも食べろと命令されている為、食べるしかない。
__命令は絶対__
もし破ったら…なんて、この1ヶ月間でよくわかった。
包帯と血だらけの体をみる。
最近は上にいる人の声が聞こえてくる為、聞き耳を立てて話を聞くのが日課。
いつものように話を聞いていると…
「ねぇ、聞きました？オールマイトまたヴィランを倒したのですって。しかも子供も一緒に。」
「凄いわよねえ。」
「さっき見かけたわ。」
おそらく使用人たちの話し声だろう。
それにしても、オールマイト…ね。
“この生活から救ってくれるかも”
そんな考えが頭の中に浮かぶ。さっき、殴られたばっかりだからしばらくは来ないはず。
外に行くなら今がチャンスか…。そうと思ったら早速決行だ。個性を使う。
姿に縛られない
心の中で呟きながら、個性を使う。
まだ近くにいるはず…！
【密かな期待】
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