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｢……どうしても、その人じゃなきゃ駄目なんですか？｣
悔しさからか、失恋の痛みからか、声が震えている女子生徒に、御剣は真摯で陰りも偽りもない言葉で、その問いに答えた。
｢うん、その人じゃなきゃ駄目、その人しか見れない。｣
｢……そ、っかぁ…いいなぁ、先輩にこんなに思われて……先輩、その人のこと、本当に大好きなんですね。｣
気丈に耐えていたであろう涙がとうとう溢れた。
後輩はその涙を拭いながら、どこかスッキリしたような笑顔で御剣にそう告げた。
｢……うん。｣
御剣の表情は見えないが、その声は心から慈しむようなもので、俺は自分の体温が上がったような感覚を覚えた。
奇跡的に、後輩は俺とは反対方向に去っていったが、ほっと安堵してる場合ではなかったのだ。
御剣がまだ去っていないことをすっかり失念しており、彼女の去り際にばったりと遭遇してしまったのだ。
｢……な、｣
｢……あ。｣
透き通るような水面に自分の姿が映り込む。
動揺に瞳がゆらゆらと揺れていた。
しばらく互いに言葉が出ず、見つめ合う状態が続いていたが、先にそれを破ったのは御剣の方だった。
｢……聞いてたのか。｣
｢……盗み聞きするつもりはなかった、って言っても、これじゃあ説得力ないな。｣
｢わかってるよ、たまたま遭遇して、好奇心が勝っちゃっただけでしょ。｣
冷静を取り戻したのか、誤解を招くことなく状況把握をした御剣の聡明さに感謝しか無かった。
先程までの動揺は消え失せ、気まずさも残らないような気楽さで、それにしても、と言葉を続ける御剣に、安堵と、少しばかり残念だ、と思う俺がいた。
俺のことだけで表情を変える御剣が、どうしようもなく可愛くて仕方がなかった。……俺も大概だな。
｢……まさか女の子から告白されるとは流石に思わなかったわ。｣
｢俺もびっくりしたぞ、告白現場に遭遇したと思ったら相手はお前だし。｣
｢同性愛に抵抗はないけど、出来ればあの子はちゃんと普通に男の子と恋愛して欲しいかな。きっと世間では生きにくいから。同じ委員会の子なんだけど、凄くいい子だから幸せになって欲しい。……フッた私が言える義理じゃないけど。｣
相手の思いを振いにしたことを気にしているのか、その表情は少しばかり曇っていた。やれやれ、と御剣の頭に掌を乗せる。
｢フッたなら、そんな顔しちゃ駄目だろ。｣
｢……そうだな。うん、元気出す。｣
次に見た彼女の顔は、いつも通りの強気で余裕綽々な表情に戻っていた。
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弓女雅零(プロフ) - こっちにも来ちゃいました(笑)やっぱりこの小説好きですっ！！ (2019年2月25日 17時) (
レス) id: fc748f73ac (このIDを非表示/違反報告)
ゆき(プロフ) - リアトさん» リアトさん、はじめまして！コメントありがとうごさいます！ご指摘ありがとうございます！確認次第訂正いたします！ (2019年2月15日 20時) (レス) id: a67af18030 (このIDを非表示/違反報告)
リアト(プロフ) - こんばんは。いつも展開をドキドキしながら読ませて頂いてます。ところで誤字報告を少し。>「確かに何人か俺にチョコらしきものを私に来た女子がいた。」これは「渡し」ではないかと思いまして報告させて頂きました。次話、お待ちしております。 (2019年2月15日 20時) (レス) id: 809030045e (このIDを非表示/違反報告)
七瀬真昼 - 分かりました！！というか返信してくれてありがとうございます！毎回毎回ご丁寧に…。私だったら返信しないまま放置ですよ多分。そういえばふと思ったんですが、次のイナオリで子文くんの正体が明らかになりますよね！見当ついてるけど…ゆきさんは分かりますよね！ (2019年1月27日 17時) (レス) id: 60ce0b2030 (このIDを非表示/違反報告)
ゆき(プロフ) - 七瀬真昼さん» 七瀬さんコメントありがとうございます！リクエスト、大変ありがたいお話なのですが、私事で大変申し訳ないのですが、モチベの関係で受け付けてないんですよ…本当にごめんなさい…でもバレンタインのお話は元々書く予定でしたので、そちらの方を是非見て頂ければ… (2019年1月27日 17時) (レス) id: a67af18030 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆき | 作成日時：2018年12月17日 23時
