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その日の夜。
私は風丸から貰った袋を開封していた。
何やらお菓子、にしては重量のあるものであったが果たして……と思いつつ袋の口から中身を取り出すと、両手の平に乗る程の瓶に詰まった色とりどり、多種多型の飴玉。明かりに照らされてキラキラと輝くそれらは一粒一粒が宝石のようで、しばし見蕩れていた。
｢Aちゃん、お茶が入りましたよ。……あら、綺麗な飴。どうしたのそれ？｣
｢おばあちゃん。……ふふ、あのね、とっても大切な人から貰ったの。｣
｢……あらあら、そんなに嬉しそうにして。よかったわねぇ。｣
私の様子を見てか、穏やかに、我が事のように嬉しそうに微笑む祖母を見て頬が緩む。今日は幾分か足の具合がが良いようで、久しぶりに杖をつきながらだが、自力で歩いている。
……そう言えば、風丸は知っているのだろうか、バレンタインに飴を贈る意味。
ふと、そんなことが脳裏を掠めた。
まあ、どちらでも構わないや。私的には貰えただけで充分すぎるくらい。
瓶から二粒飴玉を取り出し、一粒を祖母に差し出した。
｢あら、私にくれていいのかい？｣
｢幸せのおすそ分け。一人で食べるより美味しいよ？｣
｢あらあらまあまあ……それじゃあ、頂こうかしらね。｣
＊
らしくないことをした、と我ながら思う。
あの時御剣に言わなかったが、確かに何人か俺にチョコらしきものを渡しに来た女子がいた。それは大変ありがたい話なのだが、俺はそれらを全て断っていた。部室に贈られてきたそれらも然り。
直に渡されずに断るという選択がなかったものについては、佐久間達が何とかしてくれた。
ああ、了解、引き受けた。と親指をぐっと立てた帝国サッカー部のメンバーがかつてない程に頼もしく思えた。
心が決まっているのに、中途半端にそれを受け取るのは相手に失礼な気がしたから。
飴玉の意味、御剣は知っているだろうか。
知っているだろうな、なんせ雷門の優秀な頭脳だからな。そして何より女子だからな、その手の話も好きだろう。
ところで、アイツ何くれたんだろう。
箱にかけられたリボンを解き、蓋をゆっくりと開ける。
明るみに出てきたそれは、マカロン、と言うやつだろうか。白地にチョコレートでサッカーボールの模様が描かれている。間にもチョコが挟まっている。
……パンダの絵が混ざっているのは、多分力つきたんだろうな。作業光景が目に浮かぶようでくすり、と笑ってしまった。
･
バレンタイン遅刻。纏まりきらなかった……
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弓女雅零(プロフ) - こっちにも来ちゃいました(笑)やっぱりこの小説好きですっ！！ (2019年2月25日 17時) (
レス) id: fc748f73ac (このIDを非表示/違反報告)
ゆき(プロフ) - リアトさん» リアトさん、はじめまして！コメントありがとうごさいます！ご指摘ありがとうございます！確認次第訂正いたします！ (2019年2月15日 20時) (レス) id: a67af18030 (このIDを非表示/違反報告)
リアト(プロフ) - こんばんは。いつも展開をドキドキしながら読ませて頂いてます。ところで誤字報告を少し。>「確かに何人か俺にチョコらしきものを私に来た女子がいた。」これは「渡し」ではないかと思いまして報告させて頂きました。次話、お待ちしております。 (2019年2月15日 20時) (レス) id: 809030045e (このIDを非表示/違反報告)
七瀬真昼 - 分かりました！！というか返信してくれてありがとうございます！毎回毎回ご丁寧に…。私だったら返信しないまま放置ですよ多分。そういえばふと思ったんですが、次のイナオリで子文くんの正体が明らかになりますよね！見当ついてるけど…ゆきさんは分かりますよね！ (2019年1月27日 17時) (レス) id: 60ce0b2030 (このIDを非表示/違反報告)
ゆき(プロフ) - 七瀬真昼さん» 七瀬さんコメントありがとうございます！リクエスト、大変ありがたいお話なのですが、私事で大変申し訳ないのですが、モチベの関係で受け付けてないんですよ…本当にごめんなさい…でもバレンタインのお話は元々書く予定でしたので、そちらの方を是非見て頂ければ… (2019年1月27日 17時) (レス) id: a67af18030 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆき | 作成日時：2018年12月17日 23時
