水底に沈むデトリタス ページ8
……──私は、"ただの人"に成れているだろうか。
遠い記憶。機械仕掛けのようなルシと対面したせいなのか、久々に記憶の水底に沈殿していた暗がりが浮上してきた。
自我が確立して間もない頃だったが、鮮明に、鮮烈に、私の脳に刻み込まれた
顔を覚える前に両親を亡くした。
身寄りはたった一世帯だったが、一応見つかった。母方の義妹夫婦、血の繋がりを持たない、会った事すらない伯母夫婦に私は引き取られた。
無二の家族を喪った私は当時、生きながらに死んでいるような状態だった。
生気の灯らない虚ろな瞳、感情の一切を宿さない鉄の仮面、声を受けなければ自ら行動を起こさない傀儡の体、そんな状態の私を
美しい形を持った人達だったと思う。今となっては、その輪郭を思い出すことすら厳しいが。
あまりにおかしかった。不自然だった。
それを考えるには、私はまだ無知で幼過ぎた。
最初は、私を知らない人がどうしてこんなに可愛がってくれるのだろうと不思議だった。
でも違った。最初はそれに気づかなかった。否、それを教えられる前に、私はすべて失ってしまった。
歳を重ねる毎に、知識と感性を身につける度に、私は気づき始めてしまう、そして、"人間らしく"成長していく私に、夫婦は徐々に、まるで呪詛のように私に語りかける様になった。
"……──ああ、アナタは本当に、"そのまま黙って動かなければ"
……どうしてただの人形じゃないの？"
"……──ああ、オマエは本当に、"そのまま黙って動かなければ"
……どうしてただの死体に成りきれない？"
二つの声が重なった。
混ざりあって、不協和音が響いた。
耳障りだったが、耳を塞いでも声は響いた。
美しい形を持った人達だったと思う。しかし、その目に狂気を含んでいたことに気づくのが少し遅かった。
…この時からだ、これがあるから、私は………
水面へ向かって浮上する
体に纏うそれを必死に掻き、水面へ上がろうとする。身体は浮上しているはずなのに、一向に水面へ近づかない。遠のいているような気さえする。
目を覚ます。人工的な光に目が少し眩む。
遠い、夢を見ていたようだ。
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フィル - こんにちは。 個人的なんですが、イナイレと鬼滅の刃やってほしいです。 (2019年11月13日 14時) (
レス) id: 0d12e6f332 (このIDを非表示/違反報告)
灰楯M - こんにちは。最新話拝見いたしました。風丸さんの固い決意が一語一句から感じとれます……。御剣さんも幸せになって……。 (2019年2月10日 10時) (レス) id: 554f9301e5 (このIDを非表示/違反報告)
ゆき(プロフ) - 野坂君尊いさん» 野坂君尊いさんはじめまして!!返信遅くなりまして大変申し訳ありません。誤字指摘ありがとうございます……!!確認したところ確かにそうでした……!!ご指摘感謝します、ありがとうございます!! (2019年2月9日 23時) (レス) id: a67af18030 (このIDを非表示/違反報告)
野坂君尊い - 初コメ失礼します！毎話楽しみに拝見させていただいています！質問なんですが、ページ34の新タクティクスのところ、"剛と柔"ではなく、"コードG"ではないですか？ これからも更新頑張って下さい！応援してます！ (2019年2月3日 16時) (レス) id: 5271d69b7b (このIDを非表示/違反報告)
ゆき(プロフ) - 七瀬真昼さん» 七瀬真昼さん、いつもコメントありがとうございます!!そ、そうなんですか……?!ありがとうございます!!まだ見れてないんですよ〜…あっ、バレンタインすっかり失念してました……!!それですよね……公式のサプライズ、今年もあるといいですよね…… (2019年1月25日 20時) (レス) id: a67af18030 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆき | 作成日時：2018年11月22日 19時
