宣戦布告 ページ41
スマホの指紋認証を男の指で解除し、電話帳を漁り、とある名前を探す。
……――新条琢磨。
その名前を見つけた途端、迷わずにその番号を押した。
｢御剣、何して……｣
傍から見れば不可解な上に不審すぎるその行動に沈黙を耐えかねた風丸が詰め寄ってくるが、それを人差し指を立て、それを向けてやると反射的にだろうか、ピタリと言動にブレーキがかかった。
｢静かに。｣
数回のコールのあと、ぷつ、と通話が繋がる音の後男の声が聞こえた。
それにニヤリと唇で弧を描き、私は声を放つ。
｢……どうもこんにちはお偉いサン。単刀直入に用件だけ述べるので黙って聞いててくださいませ。
……これ以上の手出しは許容できない。もしそれが聞けないのなら、私に喧嘩を売るがいい。
――私のチームメイトにこれ以上下手な真似してみろ。人の痛みを知らないお前達に、最上級の苦しみをくれてやる。……って、あなたの上司にお伝えください。｣
極めて冷淡な声から最後は普段よりワントーン高めの可愛こぶった声に変わるが、顔つきは逆にいっそ不自然なくらいの笑顔から急激に感情の途絶えたような空の笑顔に変わったのが自分でも分かった。顔つきというか、正確には目付きだろうか。
一方的に言うだけ言って、ぶつりと通話を切り、あった場所に戻した。
＊
冷え切った空気が一瞬にして蔓延した。
"氷の微笑"と呼ばれている氷浦は、その異名が生温いものであると、御剣の絶対零度の笑顔を見て思った。普段の彼女が誰かの為に力を尽くせる優しい人であると知っているために、その温度はより冷ややかであると感じたのだ。
時が止まったようなその刹那を超え、はっと意識を引き戻された風丸は再び御剣に歩み寄る。
｢……御剣、一体あれはどう言う…｣
｢宣戦布告。｣
｢馬鹿かお前!!!!それじゃあまるで、自分に狙い定めさせてるような……｣
｢それが狙いなんだってば。まあ、多分一回だけじゃ聞かないと思うけど。｣
極至極自然にさらりと告げた御剣に、風丸……及びこの場の彼女以外の全員が戦慄した。自分を的にすることに躊躇いのない彼女のその姿に、一種の恐怖を覚えたのだ。
……元から御剣Aという人間はそういう行動が目立っていた。
痛みを知らぬ身ではないだろうに、彼女は平然と自らを危険な位置に置きたがる。
感情というものに人一倍過敏であるが故、人の痛みを自分の痛みと同義とするきらいのある彼女には、仲間が傷付くことが耐え難いのだ。
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フィル - こんにちは。 個人的なんですが、イナイレと鬼滅の刃やってほしいです。 (2019年11月13日 14時) (
レス) id: 0d12e6f332 (このIDを非表示/違反報告)
灰楯M - こんにちは。最新話拝見いたしました。風丸さんの固い決意が一語一句から感じとれます……。御剣さんも幸せになって……。 (2019年2月10日 10時) (レス) id: 554f9301e5 (このIDを非表示/違反報告)
ゆき(プロフ) - 野坂君尊いさん» 野坂君尊いさんはじめまして!!返信遅くなりまして大変申し訳ありません。誤字指摘ありがとうございます……!!確認したところ確かにそうでした……!!ご指摘感謝します、ありがとうございます!! (2019年2月9日 23時) (レス) id: a67af18030 (このIDを非表示/違反報告)
野坂君尊い - 初コメ失礼します！毎話楽しみに拝見させていただいています！質問なんですが、ページ34の新タクティクスのところ、"剛と柔"ではなく、"コードG"ではないですか？ これからも更新頑張って下さい！応援してます！ (2019年2月3日 16時) (レス) id: 5271d69b7b (このIDを非表示/違反報告)
ゆき(プロフ) - 七瀬真昼さん» 七瀬真昼さん、いつもコメントありがとうございます!!そ、そうなんですか……?!ありがとうございます!!まだ見れてないんですよ〜…あっ、バレンタインすっかり失念してました……!!それですよね……公式のサプライズ、今年もあるといいですよね…… (2019年1月25日 20時) (レス) id: a67af18030 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆき | 作成日時：2018年11月22日 19時
