剣は折れず ページ4
｢あいたたた……｣
｢動かないでねAちゃん……上手く包帯が巻けないから｣
風丸の肩を借り、なんとかベンチまで辿り着くと、救急セットを片手に待ち構えていたマネージャー達にがっしり捕えられ、私は手当を受けていた。
……流石に逃げないってば。人のことをなんだと思っているのだ。
と、そんな最中、なお申し訳なさそうに眉を八の字にしている坂野上がこちらにやってきた。
｢御剣先輩!!｣
｢どうした？｣
｢なにか、手伝えることはあるでしょうか。俺を庇ったせいで怪我を負わせてしまったんです。出来ることがあればなんでも言ってください!!｣
｢だから気にしなくても……あ、じゃあ耳貸してくれ｣
｢耳？｣
私の言われるまま、素直に耳をこちらに向けてくれる坂野上に、ひそひそと頼み事を呟いた。
｢────、｣
｢……!!｣
｢頼める？｣
｢……上手くできるか不安ですけど、やってみます!!｣
｢よし、よく言った。それじゃあ頼んだよ｣
ちょうど手当も終わり、救急セットを片付けているつくしにありがとう、と短く礼を述べ、よいしょ、と立ち上がる。
まだ少し痛みはするけど、ルシをどうにかするだけならこれで十分。
｢いけるのか、御剣｣
｢少なくともルシ一人を何とかするだけなら。後の事は皆に任せる｣
｢……豪炎寺の二の舞なんかになったりしたら、怒るからな｣
風丸のその気持ちは純粋に嬉しい。
睨んでいるように、怒る手前のように見えて、その実誰よりもこちらを案じてくれているのはよく伝わる。
基本的に感情は目に現れる。
どんな表情をしていても、瞳が僅かに揺れているのが見えてしまえる辺り、こいつは素直な部類の人間だ。
以前はもっと感情的で、プレーにも熱さというか、激しさというものがあった。
が、一年の間に色々あった為か、鮮烈さというものが抑えられてはいるものの、代わりに洗練されたという表現が正しいか、感情や熱量は内に秘め、冷静で冴えのあるオーラを放っている。いやはや、"男子、三日会わざれば刮目して見よ"とはこの事か。
それは置いとくとして、兎に角こいつが私に怒る時は基本二択だ。"抑止"か"心配"か。今回は後者。
……そのどちらも、根っこにあるのは私の身を案じるというものであることを知っている以上、こいつに怒られると何も言えない。
なのでそうなるのは心苦しいので、
｢任せとけ、私だってここで脱落なんてゴメンだしね｣
ニッとイタズラっぽく笑いながらそう、本心のままに言ってやるのだ。
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フィル - こんにちは。 個人的なんですが、イナイレと鬼滅の刃やってほしいです。 (2019年11月13日 14時) (
レス) id: 0d12e6f332 (このIDを非表示/違反報告)
灰楯M - こんにちは。最新話拝見いたしました。風丸さんの固い決意が一語一句から感じとれます……。御剣さんも幸せになって……。 (2019年2月10日 10時) (レス) id: 554f9301e5 (このIDを非表示/違反報告)
ゆき(プロフ) - 野坂君尊いさん» 野坂君尊いさんはじめまして!!返信遅くなりまして大変申し訳ありません。誤字指摘ありがとうございます……!!確認したところ確かにそうでした……!!ご指摘感謝します、ありがとうございます!! (2019年2月9日 23時) (レス) id: a67af18030 (このIDを非表示/違反報告)
野坂君尊い - 初コメ失礼します！毎話楽しみに拝見させていただいています！質問なんですが、ページ34の新タクティクスのところ、"剛と柔"ではなく、"コードG"ではないですか？ これからも更新頑張って下さい！応援してます！ (2019年2月3日 16時) (レス) id: 5271d69b7b (このIDを非表示/違反報告)
ゆき(プロフ) - 七瀬真昼さん» 七瀬真昼さん、いつもコメントありがとうございます!!そ、そうなんですか……?!ありがとうございます!!まだ見れてないんですよ〜…あっ、バレンタインすっかり失念してました……!!それですよね……公式のサプライズ、今年もあるといいですよね…… (2019年1月25日 20時) (レス) id: a67af18030 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆき | 作成日時：2018年11月22日 19時
