菊六 ページ6
「鶴丸殿!もうお怪我はよろしいのですか?」
「嗚呼、怪我が比較的浅い奴らはもう全快してるぜ!」
一夜明けてからあった彼は、昨日の鬱な顔と比べてとても晴れやかだ。
私の傷も何時の間にか消えていた。不思議な者よな。審神者がいのうなっただけでこんなにも空気が綺麗ににるとは。
「短刀たちの楽しそうな声が聞こえれば、なお好いのですが…」
庭は遊ぶのに丁度良さそうだが、何せ遊ぶ者たちがいないので、とても寂しげだ。
「短刀は審神者がほぼ折ってしまったからな…。俺達では、鍛刀はできても、顕現させることが出来ないからな。」
晴れやかであった顔は一瞬で曇り、悲しげな音を口から零れさす。
拳を握り、まるで自分のせいだと、己を悔いているようでもあった。
「政府はどうするつもりなのでしょう?こんのすけは昨夜見つけたので、政府に報告するよう言っておいたのですが」
「こんのすけに?あいつも言霊で縛られていた…審神者が死んだことによって、言霊縛りが解けたのか!」
鶴丸殿は、納得したようにポンと手を打つ。
「もうそろそろ戻ってくるのではないでしょうか」
気配が物凄いスピードで近付いてくる。
「山鳥毛さまーーっ!」
「こんのすけ、政府からの返答は?」
「預かってまいりましたァ!!どうぞご覧ください!!」
こんのすけが短い前足を精一杯伸ばして、こちらへと文を手渡す。
三人(二振りと一匹)は揃って内容を見ようと、紙面を覗き込む。
「…後日、浄化の為、審神者を送らせて頂きます。…….なに?」
「新しい審神者!?そんな…せっかく解放されたのに…….」
如何やらこの本丸には早くも、新しい審神者が派遣されるよう。
前任のような愚者では無いとよろしいのですが。
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緑雨 - 応援しています (2016年12月11日 15時) (レス) id: 5e89d0674e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:冬祁 | 作成日時:2016年12月10日 0時