菊十六 ページ16
これは何のつもりなのか...
目の前に並ぶ時の政府の者たちを見ながら私は深くため息をついた。
そもそも、この様に私の神域に干渉までしてくるとは想定外だ。暫く留守にしていたせいで、神域に立ち込める神気が薄くなってしまっているというのだろうか。それとも、ただ単に私の力が落ちたか。
まあどちらせにせよ、不愉快な事象であることには変わりない...はて、如何するべきか。
「...これはこれは。よくおいでなされた人の子よ」
「付喪神山鳥毛一文字本霊殿、此度は貴方様に分霊の権限の御許しをいただきたく参上した所存でございます」
政府の者は二人。一人は人の子であるが、片方は...三日月宗近か。本霊ではないが、そこらの神には負けぬ神格を持っている。それにしても...狐面をかぶっているのでよくは分かりませんが、紫吹殿によく似ている。
もしかしたら、本人であったりして。薄く開いた唇から、小さくて囀りが漏れた。
「それは人の子の願いとて聞けぬよ。哀れ哀れな我が子を増やしたくはないのだから」
「...なぜそれほどまでに拒むのですか?」
何故拒む?
「...それは考えたことがなかった」
「考えたことがなかった?」
「ああ、そうするのが当たり前...のような固定観念...いや、刷り込まれた私という一柱の性質のようなものか...?」
私という付喪神の性質。自分ですらもよくわかっていない。
「うん...まあ、もう二柱くらいなら送ってもいいよ。_____ただし」
「何でしょうか」
「酷い目に合わせたら_______分かってるね?」
これは守ってもらいたい。
神との約束は絶対。
キミら政府が破れば末代まで祟って魅せよう。
「私はいつも見ているよ?だって、神様だからね」
....見守っていよう。
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緑雨 - 応援しています (2016年12月11日 15時) (レス) id: 5e89d0674e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:冬祁 | 作成日時:2016年12月10日 0時