うるせぇ、トランペットぶつけんぞ【宮侑】 (ページ5)

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4.視線刺突ページ5

あんなことがあった昨日。つまり今日はその翌日である。私はいつも通り学校に登校して、席に着いた。

着いたはいいものの、とある人物からの視線が痛い。刺さってる。刺さってるからやめて、そのうち血でてくるから。

「伊統さん、ちょっと話があるんだけど……」

『……か、くなくんだっけ？うん、分かったから視線を刺すのやめて欲しいかな』

「いや俺すなだけど」

『いやわざとじゃないんだほんとごめん』

「知ってる」

ふふ、と小さく笑う角名くん。別にときめきません。なんだろう、馬鹿にされてるって分かってるからかな。そろそろ泣きそう。

刺さる視線の1つは角名くんだったからまだ良かったものの、もう1つはなんと宮治。あかんあかん、ダメだって君の片割れさんに伝わるのは………

「昨日はうちの侑がごめん。馬鹿さ滲み出てたでしょ」

『まぁ……………はい』

「それで、演奏の話なんだけど」

『は、はぁ……え、君が頼みに来たとかそういう？』

「違う違う。北さん…男バレの主将に許可とったから、また来ると思う。だからいっその事見学に来ないかーって話」

『…か、考えとく〜……』

「ちなみに吹部の部長さんの所には北さんが行きました」

『テメェやりやがったな』

考えとく、とだけ言って行かないつもりだったのに……部長に話通されたら行くしかないじゃん。選択肢1つしかないじゃん。

そしてちょうどよくここでHRが始まる。先生が入ってきたので角名くんも元の席に戻った。

否、宮治の刺さる視線はまだある。そろそろ血が出そう。やめて。

いつもより姿勢よく先生の話を聞いていると突然私の話が出た。やめてくれ、私がいくらトランペットマスターだからと言ってそんな全員でこっちを見ないでくれ。

「えー、伊統。さっき吹部の部長が言ってたんだが、稲荷崎の応援曲。お前ソロパートあるらしいぞ」

『すみません耳くそで聞こえませんでしたもう一度』

「ソロパートあるらしいぞ」

『すみませんもう一………』

「凄いやん伊統！俺らん時もソロパート頼むで！」

「途中で唾かけんといてやー！」

「伊統のくせに生意気やな」

『誰だぁ？唾かけるとか伊統を蔑称で使った子は』

「気のせいやって」

口々に歓声が上がる。しかし、その中でもやはり気に食わない人もいるらしい。早く終われとジト目で睨んでくるやつもいる。

これ以上視線を刺さないでくれ頼むから