夜に駆ける兎 (ページ4)

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大将下剋上事件から二年がたったある日、海軍本部内にセンゴクの激しい怒声が轟く。

仏「どこに行ったぁー！雪兎ーーーーー！！！」

　センゴクから見て後ろには三人の大将、前には中将たちが並んでいた。そして、三人の大将のさらに後ろには五匹のまだ誰も映っていない映像電伝虫が並んでいた。

青「あらら、相変わらずの自由人じゃないの」

　一人の眠たげな大将、クザンが声を挙げる。男は小さな声で「そんじゃまぁ…。もう一眠り…Zzz」と言うと本当に寝てしまった。立ち寝である。

黄「ん～、君も大概だと思うけどねぇ」

　真ん中に居たもう一人の大将ボルサリーノがにこやかな顔で告げた。

赤「どいつもこいつも…海軍としての自覚が足りちょらんわい」

　帽子を被った仏頂面の男、サカズキが腕を組む。

ガ「わっはっは！まぁ、気長に待っとったら来るだろ！」

仏「ガァァアアプ！！我々だけならともかく、大将の就任式には五老星も見るのだぞ！」

　お付け目役の幸乃進も何処に行ったのだぁ！、とガープの胸ぐらを掴み振り回すセンゴク。それもそのはず。お付け目役と次期大将は五老星がもうすぐ来るというのに全く来る気配が無いからだ。

　雪兎の直属の部下であるモモンガは(心の中で)頭を抱えた。朝はちゃんと二人とも式の準備をしていた。おそらく自分が先に行った後に脱走ーーいや、散歩に行ったのだろう。なぜこうも私の上司は時間にルーズなのだろうか。

　モモンガは視線を少し先の地面に向ける。煌々と照りつける太陽の下にしばらくいたためか、少し目が霞んだ。

赤「おんどれ、ようやく来たか」

　赤犬の声でその場にいる者(中将のみ)が気持ちを切り替える。そして数秒立ってから見聞色を得意とする者達が上空を見上げた。

　そこには近づいてくる物体が。かなりの速度なのだろう、叫び声が地上にまで聞こえてきていた。つまり、落下して来ているのは人である。

　だが、誰も狼狽えることはない。なぜなら、それが彼らの待っていた次期大将なのだから。それが"彼"の悪魔の実なのだから。

　ホシボシの実。この世の星を操ることができる、この世の星と繋がっている存在。他の大将と同じように『自然系ロギア』である。

　上空100メートルぐらいだろうか。その物体は急に止まった…が、叫び声を挙げていた男は止まった瞬間落とされてしまった。
　男はやめろやめろと声を荒げていたがもう手は離されてしまっていたのでそのまま落っこちて行った。