百十六話 ページ26
原田たちと別れたAは1人、慣れない着物から早く解放されようと個室に向かっていた。
A(あとで君菊さんに袴届けてもらお…。)
そう思いつつ、Aの脳裏には浪士たちの会話で聞いたある話がよぎっていた。
あいつは…。何者?
私はあいつを信用していいの?
誰が答えてくれるわけでもない疑問を自分に問いているうちに、部屋の前についた。
疲れきった表情で部屋に入り、障子を締めようとした刹那。
背後に気配を感じ、咄嗟に振り返るが遅かった。
A「んっ!!?…っ…!!」
何者かに口元を塞がれ、遠のく意識の中、Aは静かに"彼"の名を呼んだ…
その頃。
屯所から駆けつけた土方と新山は、島原の前で控えていた。
すると、おぼつかない様子でこちらに歩いてくる1人の芸子が目に付いた。
???「土方さんっ!!」
土方「千鶴…?」
千鶴「はい…っ!!」
暗がりのせいか。千鶴が見違えたせいか。
その芸妓が千鶴だと認識するのに、土方は少し手間取った。
そんな様子を見て、新山はこう告げた。
新山「ご無事で何よりです、雪村さん。あの…。Aさんは…?」
千鶴「Aさんなら、まだ中に…。仕事が残っているからと、私だけ先に逃がしてくださって…。」
新山「逃がす…?中は乱闘にでもなっているんですか?」
そう問いかけた新山に、千鶴は何とも言えない表情で今までの経緯を話し始めた。
新山「分かりました。副長、ここは俺に任せて頂けませんか?…それに、雪村さんをこのままひとりで返すのも…。」
土方「はぁ…。わかった…、頼んだぞ新山。」
新山「はい、それでは。」
不安げな千鶴と、いつものように眉間に皺を寄せる土方に背を向け、新山は走り出した…
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聖奈 - 名前変更します。蒼空(そら)にします (2018年5月19日 5時) (レス) id: d7db9c51fd (このIDを非表示/違反報告)
聖奈 - 心音聖奈で、ホムペ作りました!お手間をお掛けしますが、そっちでコメ返宜しくお願いします! (2018年5月18日 18時) (レス) id: d7db9c51fd (このIDを非表示/違反報告)
聖奈 - 桜龍さん、続きが読みたいです。あと、よろしければ友達になってください!コメ返待ってます! (2018年5月18日 17時) (レス) id: d7db9c51fd (このIDを非表示/違反報告)
桜龍(プロフ) - メイさん» ありがとうございます!そう言っていただけると本当に有難いです…。ありがとうございます! (2016年3月14日 23時) (レス) id: d00e888924 (このIDを非表示/違反報告)
メイ(プロフ) - お疲れ様です!!早く続きが見たい!!!!更新頑張ってくださいo(^_-)O (2016年3月14日 19時) (レス) id: 220a9c4263 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:桜龍 | 作成日時:2014年5月29日 23時