1.面倒事 ページ2
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「 幸くん!フライヤー結構捌けたよ! 」
「 …こっちも結構捌けた 」
オレは最近、MANKAIカンパニーっていう劇団に入団した。
衣装係兼役者。人手が足りないらしい。
夏組に所属したのはいいんだけどフライヤーを配り歩くまでしなきゃいけないなんて思わなかった。
正直面倒だけど、こんなオレのことも拒絶せずに接してくれる人達ばかりだし居心地は悪くは無い。
「 あれ?瑠璃川? 」
「 ほんとだ、瑠璃川じゃん! 」
「 … 」
…めんどくさ。
いつもオレのことをからかって冷やかして白い目で見てるヤツら。
「 お前まだ女の格好してんのかよ 」
「 マジウケる。似合ってるじゃん 」
「 もういっそ性別変えちゃえば? 」
「 たしかに。名前を裏切らないよな〜 」
「 で、何、女装カフェのビラ撒き? 」
「 … 」
黙りを決めていたけどそうもいかないようだった。
あ〜本当に面倒なヤツら。
「 ちょ、ちょっと、何ですか…!? 」
「 …いいよ 」
「 幸くん… 」
こんなヤツらに構ってる暇はない。
さっさと配り終えて帰ろ。
「 あ、もしかして女装友達? 」
「 ─… 」
すぐに椋が悔しそうに顔を歪めるのが分かった。
オレはいいけど、椋はそんなんじゃない。
椋の誤解だけでも解くためにそいつらに向き合う。
オレはあの時みたいに弱くない。
『 君のままでいいよ 』
アンタの言葉を頭で思い出す。
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心猫(プロフ) - 続き楽しみです!頑張ってください! (2017年7月20日 0時) (レス) id: cc0331ae79 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:クム | 作成日時:2017年5月30日 17時