僕らは甘くない (ページ3)

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『しかし、本当に気付かれないなぁ』

入学式の行われる体育館へと足を進めながら、

半ば自分に感心する

誰も自分に疑わしい視線を向けてこない

一応名門校なのに、こんなに緩くていいのか？

体育館に入る

来たものから順に座るように指示され、

指定された席に座った

佐「あ、お隣さん？俺、佐々木。よろしく！」

隣に目を向けた途端

佐々木という男子はそう声をかけてきた

『河田 Aです。よろしくおねがいします』

簡単に自己紹介

帝国学園には普通の地元中学校に通っていた従兄弟の知り合いはいないらしく

そもそもそんな名家の子供が地元の中学校にいるはずも無く、

無理に従兄弟の名前を名乗らなくてもいいと言われたのは幸い

佐「見ない顔だね、もしかして高校から？」

『そ、そうだけど？』

佐「えっ、マジ！？今年の編入生は成績優秀だからって聞いたからどんな奴かなーって思ってたんだよね！ちなみに俺、中学からの持ち上がり組だから何でも聞いてよね」

えっ！？

嫌なんだけど、もうそんな噂が出回っているのか

佐々木は声が大きいから目線が痛い

うわー、何人か見てんじゃん

でも、心強い

誰も知り合いがいない中で熟知している人がいるのは

これはこれで嬉しい