ゆるやかにしんでいく【氷織羊】 ページ38
❍ 女主想定(男主でもたぶんいける)
❍ふんわりニュアンス系
❍前日譚小説3弾要素あるかも?
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「羊くん、セロリが好きなの?」
唐突な問いかけに、フォークで刺したキャベツの為に開けた羊の口から「は、」と息だけが漏れ出た。
すぐに我に返り、戸惑いながらも返事をする。
「ええ?どうしたん、急に。別に好きじゃないけど」
一体、目の前のソイツは自分のどこにセロリが好きでセロリを食べていそうだという要素を見たのだろう。
それも唐突に。今まさに羊が口に運ぼうとしていたのはファミレスのキャベツサラダであるというのに。
「そう?食べてそうだなって思ったんだけど」
おそらくまだ羊をセロリ好きだと思いながら、いつものように自分の頼んだチーズドリアをふうふう冷ましてから口に含み、「あつぅ」と咀嚼している。
「急になんや、ぼくのどこにセロリ好きを感じたん…」
「っふ、」と口の中で熱を冷ましながら、
「いやあ、だって。ねえ?」
「ねえ?いうたってわからんよ」
まあ、まだ出会って日が浅いのだからそれも仕方がないか。…にしたってこの突拍子もなさには驚いてしまうが。
「そういうきみはチーズドリア好きなん?」
「そこそこね」
「毎回食べてるのに?」
「チーズは好きだけど、米がねえ」
「米苦手なん?」
「そこそこね」
「ふうん…」
そうして、羊のほうも大概頭空っぽな会話を繰り広げながらファミレスでの食事は進んでいく。
頭上で鳴るSEみたいな呼出音。BGMはほかのテーブルやキッチンからごちゃまぜになった人の声と物音。
「ごちそうさまでした」
「ごちそうさまでした」
最後に声を揃えて、手を合わせる。
「じゃ、これドリアの分ね」
「うん」
あらかじめ預かった相手分のお金を持ってレジで会計する。
この子はいつもドリアの金額をピッタリ出してくるのだが、その小銭はいつもこの為に用意しているものなのだろうか。それともこれまで偶然揃っていただけなのだろうか。
ありがとうございましたー、と店員の適当な挨拶とお釣りをもらってファミレスの外へ出る。
暗くなった通りの冷たい風に晒されれば、重たい制服はどんどん冷えていく。
黒い制服のソイツは羊に片手を挙げる。
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夜 - いつも素敵なお話ありがとうございます!リクエストなんですが、糸師冴さんで男主くんの話を書いて欲しいです。暗い話で冴さんがヤンデレな感じで。注文が多いですがよろしくお願いします! (8月6日 20時) (レス) id: 539b005b10 (このIDを非表示/違反報告)
りりあ(プロフ) - 加糖雪さん» 素敵なお話ありがとうございます!! (8月2日 12時) (レス) @page37 id: e7fc63ae3c (このIDを非表示/違反報告)
加糖雪(プロフ) - りりあさん» りりあ様こんにちは。リクエストいただいていた内容の作品を追加させていただきました!リクエストありがとうございました〜! (8月2日 8時) (レス) id: 7edce3b0d6 (このIDを非表示/違反報告)
加糖雪(プロフ) - 汰稀さん» なんと!素敵な夢をみていらっしゃる…!リクエストありがとうございます。お待たせしてしまうかもしれませんが承りましたのでしばらくお待ちください…! (7月30日 2時) (レス) id: 7edce3b0d6 (このIDを非表示/違反報告)
加糖雪(プロフ) - 汰稀さん» 返信遅くなってすみません!そうですね、束縛、独占欲の表現として三つ編みを用いていました(*˘︶˘*)ただ蘭世本人は無自覚かな?と思ったり思わなかったり…色々考えながら読んでいただけると嬉しいです^^ (7月30日 2時) (レス) id: 7edce3b0d6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:星藍 海 | 作成日時:2023年7月19日 3時