【ブルーロック】譲らない青 【短編集】

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でもこんなの全部、ネットや雑誌のインタビューを調べたら誰でも分かる。

　おとなりさんは絶賛活躍中のプロのサッカー選手なのだ。実際これらは私が自分で調べて手に入れた情報。




　…けれど、そう。私はそれだけじゃない。



　みんなの知らないおとなりさんの素敵なところもたくさん知っている。

　こんな私でもちゃんと女の子として優しく扱ってくれるし、おすそ分けしたらちゃんとお返ししてくれる。
　ばったり合えば微笑んで挨拶をしてくれる。
　普段はクールでいつ見ても隙がないけど、笑った時、目元が緩んで雰囲気が柔らかくなる。




　これは「おとなりさん」の私の特権。
　このアパートで知り得ることは、誰にも譲らない。

　


　おとなりさんの本当の家は、ここより都会のセキュリティのちゃんとしたマンションだ。

　わざわざ普通のアパートの部屋を借りて休みの間はここで過ごし、ここから出かけていくのは、女の子遊びの色々が週刊誌に狙われにくいから。




　女遊びは彼の趣味。
　私はそれをどうこうできる立場じゃない。

　そもそもこの恋が実るなんて思ってもいない。素敵な彼の遊び相手にすらなれる気がしない。


　私の知らないところでいけないことをしててもいい。なにをしててもいいの。
　
　…ただ、隣のあの部屋にそれを持ち込まなければ。




　隣の部屋にいる間は私の「おとなりさん」の乙夜影汰くんでいてくれれば。




　
　だからポストに妙な手紙を入れようとする女の子や、アパートまで押しかけて来ようとする女の子は追い払って、「おとなりさん」を守ってる。

　面倒な輩はこのアパートには近づけさせない。おとなりさんが「おとなりさん」でいられるように。





　そんな私にも、唯一知らない彼のことがある。

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