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「やべ、寝てた……」
放課後、蘭世はなんかの書類提出で職員室に行ってしまい、俺はそれを教室で待っていたのだが机に突っ伏して寝落ちてしまっていた。
スマホを見る。再生していたドラマは意識を飛ばしている間に10分ほど進んでいる。
蘭世はまだかなあ。時間かかってんなあ。
ドラマの再生を止め、イヤホンを外して伸びをする。
「……ん」
はらり、と前髪が視界を細切れに遮った。
腕枕で擦れて三つ編みが解けたようだ。戻ってきたら蘭世に編み直してもらわなきゃ。
ピン留めを外していると、人のまばらな教室にクラスメイトの女子3人組が入ってきた。
ふと、その中の一人__長い髪の子と目が合った、かと思えば、3人揃ってこちらに近づいてくる。
「Aくん」
「?」
髪の長い子が声をかけてきた。
何の用だろ、と少しだけ身構えたが、その用件は以外にもあっさりしたもので。
「前髪解いてる。珍しいね」
「…さっき解けた」
「解けた?」
「寝てて」
「あはは。寝てたんだ」
ただ俺と雑談しにきただけらしい。
今度は髪の短い子が聞いてくる。
「今日午前終わりだけど、Aくんはこの後用事とかないの?」
「んー、ないけど。蘭世待ち」
「ああ、黒名くんかあ…」
それを聞いて、髪をひとつに結んでいる子が
「二人って仲良いよね。中学一緒なの?」
「いや?高校から」
へえ〜とか、めちゃくちゃ仲良いね〜とか相槌が返ってくる。
そして、髪の長い子が、何やら緊張しがちなのが隠しきれないような様子で、目を合わせず聞いてきた。
「ねえ、Aくんの前髪、編んでみてもいい?」
「え?いいけど…」
眠気眼、まだ少しぼんやりした頭で答えれば、その子と目が合う。
「やった」
嬉しそうにはにかまれ、他のふたりもなんだか楽しそうな顔をしている。俺は女子のことがよく分からないから、なんで嬉しそうかなんて検討もつかなかったけれどそれならそれでまあいっか、と思った。
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夜 - いつも素敵なお話ありがとうございます!リクエストなんですが、糸師冴さんで男主くんの話を書いて欲しいです。暗い話で冴さんがヤンデレな感じで。注文が多いですがよろしくお願いします! (8月6日 20時) (レス) id: 539b005b10 (このIDを非表示/違反報告)
りりあ(プロフ) - 加糖雪さん» 素敵なお話ありがとうございます!! (8月2日 12時) (レス) @page37 id: e7fc63ae3c (このIDを非表示/違反報告)
加糖雪(プロフ) - りりあさん» りりあ様こんにちは。リクエストいただいていた内容の作品を追加させていただきました!リクエストありがとうございました〜! (8月2日 8時) (レス) id: 7edce3b0d6 (このIDを非表示/違反報告)
加糖雪(プロフ) - 汰稀さん» なんと!素敵な夢をみていらっしゃる…!リクエストありがとうございます。お待たせしてしまうかもしれませんが承りましたのでしばらくお待ちください…! (7月30日 2時) (レス) id: 7edce3b0d6 (このIDを非表示/違反報告)
加糖雪(プロフ) - 汰稀さん» 返信遅くなってすみません!そうですね、束縛、独占欲の表現として三つ編みを用いていました(*˘︶˘*)ただ蘭世本人は無自覚かな?と思ったり思わなかったり…色々考えながら読んでいただけると嬉しいです^^ (7月30日 2時) (レス) id: 7edce3b0d6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:星藍 海 | 作成日時:2023年7月19日 3時