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ガラスの向こうに、Aの姿を見た。
外は酷い雨で、雨宿りをしにこのモールまで来たのかと思った。しかし、Aはすぐに離れて雨の中を歩き出して行ってしまう。傘を持つでもなく、頭を濡らさぬよう守るでもなく、ただ、ゆったりといつもの調子で雨の中へ。
何かがおかしい。
俺の中で、何かが小さく音を立てた気がした。
「……A…?」
発した声は小さく震えた。突然怖くなって、動けなくなった。
Aが、このままどこかへ消えてしまいそうに思えた。
それはひどく恐ろしくて、消えたらその後すべてを忘れてもう二度と思い出せなくなりそうで、俺は次の瞬間には外へ飛び出していた。
A。
明るくて、優しくて、俺たちのことを支えてくれた。
サッカーのことを知らないからと1から自分で勉強して、努力していた。
俺のことをよく見て、アドバイスをくれて、そばにいて、ああでも俺だけにじゃなかった。みんなに平等にそうあってくれた。
好きだった。みんな、そんなAが好きだったのだ。だから、いなくなるなんて、いや、いなくなるなんてオレが勝手に思ってしまっているだけだけど。
「おい!」
その後ろ姿を捉え、叫ぶ。
俺もあっという間にびしょ濡れだったが構わない。今、この一瞬を逃したらもう二度と掴めないものが目の前にある気がするから。
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夜 - いつも素敵なお話ありがとうございます!リクエストなんですが、糸師冴さんで男主くんの話を書いて欲しいです。暗い話で冴さんがヤンデレな感じで。注文が多いですがよろしくお願いします! (8月6日 20時) (レス) id: 539b005b10 (このIDを非表示/違反報告)
りりあ(プロフ) - 加糖雪さん» 素敵なお話ありがとうございます!! (8月2日 12時) (レス) @page37 id: e7fc63ae3c (このIDを非表示/違反報告)
加糖雪(プロフ) - りりあさん» りりあ様こんにちは。リクエストいただいていた内容の作品を追加させていただきました!リクエストありがとうございました〜! (8月2日 8時) (レス) id: 7edce3b0d6 (このIDを非表示/違反報告)
加糖雪(プロフ) - 汰稀さん» なんと!素敵な夢をみていらっしゃる…!リクエストありがとうございます。お待たせしてしまうかもしれませんが承りましたのでしばらくお待ちください…! (7月30日 2時) (レス) id: 7edce3b0d6 (このIDを非表示/違反報告)
加糖雪(プロフ) - 汰稀さん» 返信遅くなってすみません!そうですね、束縛、独占欲の表現として三つ編みを用いていました(*˘︶˘*)ただ蘭世本人は無自覚かな?と思ったり思わなかったり…色々考えながら読んでいただけると嬉しいです^^ (7月30日 2時) (レス) id: 7edce3b0d6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:星藍 海 | 作成日時:2023年7月19日 3時