【ブルーロック】譲らない青 【短編集】

異邦人 【御影玲王】 ページ18

❍男主
❍設定ふわふわ
❍ファンタジー色つよめ




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　滝行ってこんなかな、と思った。




　オレは今、土砂降りの中をとぼとぼと歩いている。夜。暗い街中。
　着ていた服は既に濡れてくたくた。水分を含んでその重みを増していた。突然の雨だったからか、通りを歩く人は極端に少ない。時折すれ違う傘を持った人からぎょっとした視線を向けられる。


　オレが傘を持たずに一人でふらふらしているからか、それとも。

　オレが爆弾をかかえている、というのが周りにも分かってしまうからなのか。




　爆弾。それは時限爆弾だ。
　オレは気がついてしまった。
　オレは、この世界の人間じゃない。




　いつ「その時」が来るかわからない。いつ「その時」が来てもおかしくない。
　
　オレは帰らなきゃいけない。
　
　雨音は、俺を急かすようにうるさい。
　不安になるような暗い中をそれでも歩いていく。


　というか、「その時」は本当に来るのだろうか。
　この世界に居てしまった以上、オレも「この世界の住人」という判定がされて、消されることもなくこの先もこの世界で生き続けることになるかもしれない。
　それなら、自分で時限爆弾の針を進めなくてはいけない。

　自分で、自分を、確実に消す方法を……



　少しだけ歩き疲れて、ショッピングモールのガラス張りに背中をもたれた。
　店内から漏れる光は、大きい雨粒を反射して眩しい。
　ああ、靴の中まで水浸しだ。


　……どうしよう。
　どう消えるにしたって、綺麗さっぱりというわけにはいかない。
　みんなも、オレも人間だから、多少のわだかまりが必ず残るだろう。
　みんなと綺麗に関係を切るのは難しい。
　オレは誰の記憶にも残りたくない。残っちゃいけない。違う世界の人間が、そんなことしちゃいけない。



　「……はあ」



　ため息をついて、それからまた歩き出した。

　帰ろう。
　帰らなきゃ。
　元の世界に。…どうやって？

　どうやったら消えることが出来る？どうすれば自然にこの生活にカタをつけられる？



　誰か、正しい終わり方を教えてくれないか。

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