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「伊作くんによく心配されるんじゃない?」
「…それはまあ…過保護なくらい…」
「そういうことだよ」
雑渡さんは優しく笑う。
「君も大概、人助けしちゃうお節介みたいだから。最初に乱太郎くんを助けようと動いたのは君って聞いたよ」
「…そうですね」
否定できなくてつい目をそらした。
(…実際には、自分の命なんてもうどうでもいいと思っているからできたことなのだろうけど)
「そういうところも含めて、余計に君が心配だよ。私も」
心を読まれたのかと思ってドキリとした。
(…雑渡さんも?)
どういうことか聞こうとして、けどその領域に足を踏み入れるのが怖くて迷った。
「…それじゃあ、そろそろ帰ろうかな」
雑渡さんが立ち上がる。
「うーん。やっぱりお茶菓子がないと口寂しいかもね。今度来る時は何か甘味を用意してくるよ」
そうして障子の前まで行き、静かに開けた。
夕焼けの近い空が覗いて、こちらに背を向けたまま雑渡さんは「何か食べたいものはない?」と聞く。
私も立ち上がって、一歩だけ雑渡さんに詰める。
「…なんでもいいです」
「分かった。それじゃあ、またね」
私が瞬きした一瞬のうちに、雑渡さんはいなくなっていた。
ちょっとだけ信じられなくて、開けっ放しになった障子の所まで駆け寄って廊下と外を見てみるが人影は一切ない。
雑渡さんが怖い。
私のことをどこまで知っているかわからないから。
それは変わらない。
だから危険人物なのだ。
あの人は文が届けられなかったことを知っている。
それ以上のことは分からない。そしてどう解釈されているのかもわからない。
もし雑渡さんが私の隠していることを全部知っていたとして、こうして会いにくるのは見張っているからかもしれないし、伊作さんと手を組んでいる可能性だってある。
(……泳がされている…?)
私がどう出るのか。
下手につつかないようにただ見ている?
(本当に、時間が無い…)
だけど毒を手に入れるためは、周りに私の身体は大丈夫だと思わせるためには時間をかける必要がある。
困ってしまうことばかりだ。
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加糖雪(プロフ) - 犬さん» コメントありがとうございます。お待たしてしまって申し訳ありません…また少しずつ更新していけたらと思うのでよろしくお願い致します! (2022年11月6日 0時) (レス) id: 7edce3b0d6 (このIDを非表示/違反報告)
犬(プロフ) - このお話の続きが楽しみです。更新楽しみにしてます。 (2022年3月24日 8時) (レス) @page27 id: f57686b26e (このIDを非表示/違反報告)
加糖雪(プロフ) - レン。さん» レン。さんコメントありがとうございます。学園の人達と関わっていく中で、夢主がどう変わってどういう選択をしていくのか見届けていただけると幸いです。今後もこの作品をよろしくお願いします…! (2022年1月16日 18時) (レス) id: 7edce3b0d6 (このIDを非表示/違反報告)
加糖雪(プロフ) - れなさん» れなさんコメントありがとうございます。感想をいただけてとても嬉しいです。ゆっくりとですが更新再開してますのでどうぞよろしくお願いします( ᵕᴗᵕ ) (2022年1月16日 18時) (レス) id: 7edce3b0d6 (このIDを非表示/違反報告)
レン。(プロフ) - これからの夢主ちゃんがどうなるのか気になります!!気長に更新待ってます! (2022年1月16日 4時) (レス) id: 6501380a5e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:加糖 雪 | 作成日時:2021年7月25日 4時