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ピーッピーッピーッ
「焼けた焼けた!」
電子レンジが音を鳴らしたのを合図に、読んでいた本を机に置いて電子レンジに駆け寄る。
甘い匂いで満たされたキッチン。
電子レンジを開ける。
「良かった、焦げてない」
電子レンジのオーブン機能を使って焼いたプレーンクッキーは、ハートや星、鳥やウサギなどいろんな形をしている。
クッキーを鉄板から器にうつし、ひとつ摘む。
「うん、美味しい」
先程近所に住む自分のおばあちゃんから電話で手作りのアップルパイを焼いたから持っていくと言われ、ちょうどクッキーを焼いていた私はお礼におすそ分けするつもりなのだ。
おばあちゃんはお菓子作りが得意で小さい頃よく一緒にお菓子を作っていたっけ。
おばあちゃんがケーキのスポンジを焼いて、私はクリームを塗って飾り付けをする。
思い出したら懐かしさが込み上げてきた。
今度また一緒にケーキ作りをしないかおばあちゃん誘ってみようかな。
自分の部屋からラッピング用の袋を取り出してきて、クッキーを4、5枚入れて封をした。
と、ちょうど良いところでチャイムが鳴る。
ばたばたと玄関へ行きドアを開ける。
「はーい!」
「A、相変わらず元気だねえ」
ドアを開けた先で立っているおばあちゃんは私の顔を見てくしゃりと笑う。
「はいこれ、アップルパイ」
持ち手のついたオシャレなバスケットを手渡される。
受け取って中を覗くと、そこにはレースペーパーの上にアップルパイが丸々ワンホール。
「ありがとう!って、えっホール?丸ごと?こんなにいいの?」
「いいのいいの、お隣さんからたっくさんもらったりんご使ったらアップルパイが3つも焼けたのよ」
「そんなに?!あっ、そうだ、おばあちゃんちょっとまってて!」
私は急いでキッチンへ戻り、受け取ったバスケットをダイニングテーブルに置くと今度はさっき袋に入れたクッキーを持って玄関に戻る。
「はいこれ!ちょっとだけだけど、お礼のクッキー」
今度は私の手からおばあちゃんが受け取る。
「おや、Aの手作りかい?」
「うん、ちょうどクッキー焼いてて」
「ふふ、ありがとう。家に帰っておじいちゃんと大事に食べるよ」
おばあちゃんが私のクッキーを大事に鞄にしまうのを見て、なんだか照れくさくなった。
「じゃあまたね」
「うん、気をつけて」
おばあちゃんを玄関先で見送ると、早速家に戻る。
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ゆきろあ(プロフ) - 名無しさん» 名無しさんありがとうございます!実は意外にそういう細々したところを書くのが私自身楽しかったりもします...笑 今回解説仕切れ無かった部分をまたどこかで紹介したいなと思っていますのでそちらも楽しみにしていただければと思います!長文ありがとうございました! (2019年10月31日 17時) (レス) id: ac64387404 (このIDを非表示/違反報告)
名無し - た目と年齢の不一致についての描写と、突然の事に混乱しつつなんとかしようと動く夢主の心理描写が好きでした…。今後の展開も楽しみにしています。長々と失礼しました。 (2019年10月27日 22時) (レス) id: 04c8bfa83c (このIDを非表示/違反報告)
名無し - 魔導学校と飛ばされた場所の位置関係についての描写について、初めて読んだとき「そう表現してくるか!」「だからあの子達に会ったのね!」と勝手に納得して感動しておりました…きっとゆきろあ様の中に確たる設定・流れがあるからでしょうね。個人的にシェゾの見た目 (2019年10月27日 22時) (レス) id: 04c8bfa83c (このIDを非表示/違反報告)
名無し - 続編おめでとうございます!夢主の心理描写やキャラの言い回しなど違和感を感じさせない物語と丁寧に織られた伏線が好きなので今後も読める喜び余ってコメントします!後書きの解説では答え合わせをしていただけているようで嬉しかったです…シェゾとレムの言い回しや、 (2019年10月27日 22時) (レス) id: 04c8bfa83c (このIDを非表示/違反報告)
ゆきろあ(プロフ) - 名無しさん» ありがとうございます!そう言っていただけてとても嬉しいです...!性格や関係性は私が書くにあたってこだわっていた部分でもあるので気づいて頂けて感激です。完結まで頑張りますので、よろしくお願いします! (2019年10月15日 2時) (レス) id: ac64387404 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:加糖雪 | 作成日時:2019年7月3日 18時