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「町にとうちゃ〜く!」
人通りの多いところに来ると同時に、ここまでずっと繋いでいた手はAが自然に離していった。
「荷物ありがとね」
と、伊作から荷物を受け取り、
「っと、じゃあまず伊作の用事のあるとこに行こうか」
「うん。向こうで薬草や薬を扱っている店があるからそこに」
*
「いらっしゃい」
薬売りの店へ訪れると、店主がにこやかに挨拶をくれた。
「よし、伊作はここで見てて。その間に町での用事済ませてくるから」
「わかった。気をつけてね」
「ばっちり気をつけて行ってきます!あ、伊作も不運に気をつけるんだぞ、早めに戻ってくるから!」
はあい、と短く返事をする伊作は、既に店に並べられた薬草たちに夢中だ。
「わああ、すごい、どれにしようかなあ…」
目を輝かせる伊作に、
(ぐっ、かわいい…)
声が漏れそうになるが堪えて、「すみません、ちょっと…」Aは声を潜めて店主に声をかけた。
伊作に気づかれないよう、小さな声で店主と会話を終えてからAは荷物を抱えて外へ出ていった。
*
「いーさく!」
「あっA!」
既に買い物を済ませ、店先で立っている伊作に、先程より少し身軽になったAが飛びつく。
「お目当てのものは買えた?」
伊作はAの肩を掴んで引き剥がし、声を大きくした。
「買えたけどさ!」
時を戻して伊作の買い物中。
「うーんこれにしようかなあ」
「それは今朝仕入れたばかりなんだよ。希少で高くつくけど万能だからいつもすぐに売り切れる。買うかい?」
「買います!」
「どのくらいいるかな?」
「えーと……」
(お金はあとでAに貰うとして……今の僕の手持ちで買えるだけ買っちゃおうかな。でもあんまり買いすぎてもAに迷惑かな……)
迷っていると、見かねた店主が伊作に話しかける。
「あの兄ちゃんから伝言」
「え?」
「買うか買わないかは別として、とりあえず素直に必要な分を店主さんに言ってやってくれ、ってさ」
「Aが…?」
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加糖雪(プロフ) - 乃花おむ子さん» 乃花おむ子さんこちらにもコメントくださりありがとうございます!ギャグに自信ないのですが笑っていただけて嬉しいです〜!こちらの作品はかなりゆっくりの更新になりますがよろしくお願いいたしますm(_ _)m (2021年9月25日 18時) (レス) id: 7edce3b0d6 (このIDを非表示/違反報告)
乃花おむ子(プロフ) - めちゃめちゃ面白くて笑いながら読んでしまいました……!無理のない程度に更新頑張ってください! (2021年9月24日 7時) (レス) @page27 id: 3538425ae0 (このIDを非表示/違反報告)
加糖雪(プロフ) - まーぶりんさん» まーぶりんさんコメントありがとうございます!楽しんで頂けている様で何よりです…!応援ありがとうございます。今後も何卒よろしくお願いいたします! (2021年5月21日 20時) (レス) id: 22bc115167 (このIDを非表示/違反報告)
まーぶりん(プロフ) - ウッ…凄く好きです…!!ホント主様の文才が神すぎて…!更新楽しみにしてます( ゚д゚)頑張ってくださいー!! (2021年5月20日 17時) (レス) id: 045921842f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:加糖 雪 | 作成日時:2021年5月12日 22時