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「た、立花先輩ごめんなさ〜い!」
「棚を倒しちゃいました…」
いつの間にか倉庫の中に入って片付けを始めようとしていたらしきしんベヱと喜三太は泣きそうな顔だった。
見ると棚までもがドミノ倒しのようになって綺麗に全部倒れている。
「よし、立花。その焙烙火矢をできるだけ広くて遠くて人のいないところに向かって思い切り投げようか!」
「やめろ、その手を離せA!離さなければお前にこれをぶつける!」
「え!?いいんですか?!」
「立花先輩コイツダメですご褒美になってます!」
何を考えたのか途端に目を輝かせたAに、喜八郎は知ってはいたものの改めてドン引く。
「クソっ!」
いやクソっ、じゃないだろう。
良いと言ってるのだからその愛の焙烙火矢を力の限り俺にぶつけてくれ___などとAは思いながら、
しかし既に火のついた焙烙火矢を手にする立花をなんとか取り押さえたこの状態のままだと、Aはともかく仙蔵も喜八郎も爆発に巻き込まれてしまう。
愛する忍たまに怪我はさせたくない。
「綾部!ちょっと手伝ってくれる?!」
「え?」
Aは力ずくで仙蔵の手から焙烙火矢を奪うと、猛スピードで一直線に走った。
「な…ッ!」
「いくよ綾部〜!」
そして足を止めたAはキャッチボールのごとく、数メートル先の喜八郎に向かって奪った焙烙火矢を投げつける。
「あ〜もう!仕方ないですね!」
そう言いつつも力を貸すしか無くなった喜八郎は、一直線に飛んできた焙烙火矢を持っている踏鋤で思い切り打った。
ドォン!と焙烙火矢は空中で爆発を起こし、Aたちの元には爆風が体当たりしてくる。
「ホームラ〜ン!流石だね綾部!上手い!」
「…だからそういうところが気に入らないんですって」
「ええ?」
焙烙火矢が爆発するまでの時間から逆算して、どのくらいの距離をどのくらいの速さで投げれば喜八郎が踏鋤で打った後に空中で爆発させられるか。
それを瞬時に割り出したAの動きは、完璧で大成功であった。
本人はあくまで「アホのは組」を主張しているが、どうやらかなりの実力の持ち主。
それを隠すようにとぼけた態度が、喜八郎も仙蔵もあんまり好きではないのだ。
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加糖雪(プロフ) - 乃花おむ子さん» 乃花おむ子さんこちらにもコメントくださりありがとうございます!ギャグに自信ないのですが笑っていただけて嬉しいです〜!こちらの作品はかなりゆっくりの更新になりますがよろしくお願いいたしますm(_ _)m (2021年9月25日 18時) (レス) id: 7edce3b0d6 (このIDを非表示/違反報告)
乃花おむ子(プロフ) - めちゃめちゃ面白くて笑いながら読んでしまいました……!無理のない程度に更新頑張ってください! (2021年9月24日 7時) (レス) @page27 id: 3538425ae0 (このIDを非表示/違反報告)
加糖雪(プロフ) - まーぶりんさん» まーぶりんさんコメントありがとうございます!楽しんで頂けている様で何よりです…!応援ありがとうございます。今後も何卒よろしくお願いいたします! (2021年5月21日 20時) (レス) id: 22bc115167 (このIDを非表示/違反報告)
まーぶりん(プロフ) - ウッ…凄く好きです…!!ホント主様の文才が神すぎて…!更新楽しみにしてます( ゚д゚)頑張ってくださいー!! (2021年5月20日 17時) (レス) id: 045921842f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:加糖 雪 | 作成日時:2021年5月12日 22時