きっと息をやめるまで【RKRN】 (ページ9)

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｢大変です！｣

この声、さっきこの部屋から出ていった男の子の声だ。

｢どうしたの乱太郎、ランチ食べに食堂に行ったんじゃ…｣

｢そ、そうだったんですけど、
食堂に向かう途中の廊下で事務の小松田さんがいつものドジで転んでけがをして、
次にその横で1年ろ組の伏木蔵が4年い組の綾部先輩が落とし穴を掘っている最中だったところに落っこちて2人ともけがをして、
そしたら5年ろ組の竹谷先輩は生物委員会で飼っているなんとかって動物に噛まれてけがをしたらしく、保健委員の僕に声をかけてきて！｣

｢それで、全員連れてきたと…｣

｢はい…｣

｢災難だったね…｣

全員連れてきた、ということはこのがやがやした感じは人がたくさんいるからか。

｢あっ、みんな入る前についたてを…ちょっと待ってね｣

ぱたぱたと足音が再びこちらの方にやって来て、｢よいしょ｣と何かが近くに置かれる音がした。

ついたてが置かれたのだろう。
これから大勢が部屋に来るから寝ている私への配慮…ということなのか。

｢はい、じゃあ順番に診るね。乱太郎も手伝って｣
｢はい！｣

けが人たちが部屋に入ってくると同時に部屋が騒がしくなる。

話し声をぼーっと聞き流していると、ふと男の人達の声しか聞こえないことに気がついた。

ああついたてって、そういう意味もあるからなのか。

まだ身体に疲れが残ってるのかそうしてるうちにだんだんまた眠たくなってきた。

*

｢あの、伊作先輩…あの子はまだ目を覚まさないんですか｣
伏木蔵は心配そうについたての方に視線をやった。
“あの子”とは、今朝忍術学園にやってきて倒れ、今はこの医務室のついたての向こうで眠っている少女のことだ。

｢うん…でも呼吸も安定してるしぐっすり眠ってるだけだと思うから心配いらないよ、伏木蔵｣
伊作は伏木蔵の手当てをしながら、安心させるように微笑んだ。

｢あっじゃあそのついたての向こうで寝てるのって今朝忍術学園に来て倒れたって人なんですか｣
八左ヱ門の言葉に、伊作は頷いた。