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「体調はどうですか?ええと…」
乱太郎くんが言い淀んだので、私の方がまだ名乗っていなかったことに気がつく。
「あっ、ごめんね。私の自己紹介がまだだったね。私はAっていいます」
乱太郎くんを初め、順番にみんなの顔を見る。
「おかげさまで体調はだいぶ良いです。きっと忍術学園の保健委員の皆さんのおかげです。ありがとうございます」
私がもう一度頭を下げたのに対して、乱太郎くんは胸を張って答えた。
「いいえ!保健委員として当然です」
私は少し驚いた。
伊作さんも含めて、保健委員の子たちはその答えに皆揃って頷いている。
保健委員だから、というのが見ず知らずの人を助ける理由に事足りるのか。
「Aさん、ご飯はきちんと食べましたか」
二年生の左近くんに私は首を縦に振る。
「うん。雑炊をご馳走になったよ」
「まだあまり顔色が良くないように見えます…もう少し休んだ方が…」
三年生の数馬くんにそう言われて、私は左手を頬に当ててみる。
「そう、かな」
「そうですよ。けがもしているみたいですし、しっかり休んでください」
伏木蔵くんにもそう言われて、私はこの子達の気持ちはしっかり受け止めなくてはと思った。
「そうするね。ありがとう」
「って、留三郎はずっと襖のとこで突っ立ったまんまだけど、入ってきなよ」
「いや、タイミングを逃してな…」
私もずっと気になっていたことを伊作さんに言われた留三郎さんは、やっと部屋に入り襖を閉めた。
そして保健委員たちの少し後ろに正座すると、伊作さんが彼を紹介する。
「Aちゃん、彼は僕と同じ六年は組で同室の」
「食満留三郎だ。ちなみに俺は用具委員会委員長をしている」
名前より後は本人が言ってくれた。
私は軽く礼をする。
「…あの」
ここにいる人たちの自己紹介が終わったところで、私はようやく自分から声を出した。
ずっと、聞こうとしていたことがあったのだ。
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加糖雪(プロフ) - Hanakoさん» ありがとうございます!^^ (2021年4月25日 21時) (レス) id: ac64387404 (このIDを非表示/違反報告)
Hanako - 面白い!! (2021年4月17日 18時) (レス) id: 1d8bf8714f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:加糖 雪 | 作成日時:2021年3月31日 9時