3 転落 ページ6
「え」
目の前に、中庭を見下ろす景色が広がる。
「うそ……ッ!??!」
驚きと恐怖で上手く力が入らない。声も出ない。
喉の奥で空気が詰まって叫べない。
それでも辛うじて、伏黒さんから離れないように僅かな力で踏ん張る。
周りを割れたガラスの破片が光を反射しながらきらきらと舞っていた。
それを抜けて落ちる。
目を閉じて、次に目を開けると中庭の地面に着地していた。
「……大丈夫ですか」
伏黒さんに顔を覗き込まれる。
「……は、っはぃ……」
声が掠れた。ジェットコースターなんかとは比にならない恐怖。1歩間違えれば死んでいた。
なのに、窓ガラスを破って美術室のある4階から地上に飛び降りたのにも関わらず伏黒さんも私も無傷。
本当に何が起きているんだ。
私を腕から降ろし、不本意ながら情けなく膝がガックガクになっているこちらを見て、伏黒さんが何か言おうと口を開く。
と、今度は頭上からものすごい音がした。
咄嗟に見上げると、4階___美術室の窓が、いや壁ごと、何か巨大なものがぶつかったみたいにして破壊されていた。
「──チッ、こっちを追ってくるか」
壁の破片や割れた窓ガラスが降ってくる。
それに紛れて、四角い___
「わ、わたしの、絵……?!」
美術室に置いていた私が絵を描いたキャンバスたちが落ちてくるのが見えた。
動けない。あんなに頑張って描いた大事な絵なのに。
次のコンクール、あれがダメになったらおしまいなのに。
キャッチしようと、走り出したい。
なのにどうして動かないんだこの脚は……!
「逃げてください。帳の外に」
「…と…?」
「この夜の膜の外、学校の外です!」
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加糖雪(プロフ) - ねむさん» ありがとうございます!続編でもよろしくお願いします〜! (2022年2月11日 4時) (レス) id: 7edce3b0d6 (このIDを非表示/違反報告)
ねむ - ひぇ〜!また更新されておる〜!!めちゃくちゃ良いデス!自分のペースで続編よろしくお願いします (2022年2月7日 22時) (レス) @page43 id: 38d2d0b865 (このIDを非表示/違反報告)
加糖雪(プロフ) - ねむさん» ねむさんコメントありがとうございます!面白いですね〜どんな風に強くなっていくか、今後の展開に期待していただければと思います! (2022年2月7日 9時) (レス) @page42 id: 7edce3b0d6 (このIDを非表示/違反報告)
ねむ - 夢主、絵が命かけれるほど大好きなんですね!えと、絵を破かれたりしたら強くなる…みたいなことを妄想しました(><#) (2022年2月5日 20時) (レス) @page35 id: 38d2d0b865 (このIDを非表示/違反報告)
加糖雪(プロフ) - るきー流季ーさん» るき―流季―さんコメントありがとうございます!絵師を目指していらっしゃるんですね。この作品をもって私も読んでくださる方を応援できるように頑張ります! (2022年1月30日 22時) (レス) @page23 id: 7edce3b0d6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:星藍 海 | 作成日時:2022年1月20日 1時