番外編-呪霊といっしょ ページ39
「A〜」
「どうかした?野薔薇」
陽が落ちかけた寮までの道を1年生4人で歩いていると、野薔薇はその眉根を寄せていた。
「その特級呪霊さあ、ずっとそうやって姿の見える状態なわけ?」
「え?うん。そうだけど」
歩きながら答えると、全員が驚いたような顔をした。
「見えるようになってから、ずっと傍にいるんだよね。ご飯の時も、寝る時も」
恵が面食らった表情で「一緒に布団で寝てたのか……?」
「あはは、違う違う。呪霊は枕元に立ってるだけ。最初はなんか幽霊みたいで朝起きた時とか流石にびっくりしてたけど、すぐ慣れちゃった」
野薔薇は私の肩を抱いて寄せてから、
「じ、じゃあお風呂の時とかどうしてたのよ…!?」
「どうって…」
悠仁も興味ありげに「わ、それは俺もちょっと気になるかも…!」と言うが、「あいたっ」恵に無言でばしっと背中を叩かれた。
「ちゃんと脱衣所の外で待っててくれたよ。不思議だよねえ」
「呪霊のわりにはそこら辺の良識はあるのね……」
私の肩を抱いたまま、野薔薇はその隣の呪霊を見やった。
「そうそう。だからさっきの訓練の時ので姿が消せるってことを初めて知った」
「今までずっと完全顕現の状態だったってことは、それなりに大変だったんだろうな…」
恵が遠い目をしてぼそりと呟く。
「え?何が?」
「お前じゃなくて。護衛についてた人とか、家族の周りの人が」
言われて思い出した。
確かに憑かれた状態の私がいると、近くにいる人たちの中に、顔色を悪くする人がちらほらいた。
「……そうかも」
「そいつに人に危害を加える気はなくとも、呪力が強すぎるせいで、呪霊の存在を感知できるような人は当てられるんだろうな」
「……だって」
私は呪霊の方に話しかけてみる。
「人の多いところではさっきみたいに姿を消した方がいいかも。…お願いできる?」
と、呪霊は首を僅かに動かしたのか動かしてないのか。
伝わったかどうかは曖昧で判別できない。
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加糖雪(プロフ) - ねむさん» ありがとうございます!続編でもよろしくお願いします〜! (2022年2月11日 4時) (レス) id: 7edce3b0d6 (このIDを非表示/違反報告)
ねむ - ひぇ〜!また更新されておる〜!!めちゃくちゃ良いデス!自分のペースで続編よろしくお願いします (2022年2月7日 22時) (レス) @page43 id: 38d2d0b865 (このIDを非表示/違反報告)
加糖雪(プロフ) - ねむさん» ねむさんコメントありがとうございます!面白いですね〜どんな風に強くなっていくか、今後の展開に期待していただければと思います! (2022年2月7日 9時) (レス) @page42 id: 7edce3b0d6 (このIDを非表示/違反報告)
ねむ - 夢主、絵が命かけれるほど大好きなんですね!えと、絵を破かれたりしたら強くなる…みたいなことを妄想しました(><#) (2022年2月5日 20時) (レス) @page35 id: 38d2d0b865 (このIDを非表示/違反報告)
加糖雪(プロフ) - るきー流季ーさん» るき―流季―さんコメントありがとうございます!絵師を目指していらっしゃるんですね。この作品をもって私も読んでくださる方を応援できるように頑張ります! (2022年1月30日 22時) (レス) @page23 id: 7edce3b0d6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:星藍 海 | 作成日時:2022年1月20日 1時