幕間-先生の高配 ページ36
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Aが高専に来るまでの間のこと。
彼女とこの特急呪霊を、高専の関係者含む他の呪術師や呪詛師が目をつけるより先に見つけられたことは幸運だった。
真っ先に彼女から了承を得て、上層部に気づかれないうちに休学、転入手続きをほとんど終わらせた。
そして後戻り出来ない段階になったところで一件を「事後報告」という形で伝える。
呪霊の憑いた少女を高専に入れた、と。
悪質な輩の手に落ちずに済んだのもそうだが、何より先手を打てた。外堀から埋めた。
当然、相当怒鳴られてしまったが。
本来であれば、呪術界の人たちや呪詛師らがこの特級呪霊の存在を知らないのを利用して、僕が一人でこっそり彼女の面倒を見れたら良かったのかもしれないけど……
高専に引き入れた方が、彼女がより早く自分の呪力の自覚し適応するのに都合が良いだろうと考えた。
乙骨が良い前例だ。
だから必然とその存在を上にも知らせる必要があった。
高専に入れればいずれは知られて調べあげられることだから。
諦めがつくように細々としたやることは全部終わらせて、転入は確定、あとは来てもらうだけにしたというのに。
“そんなよくわからないものを勝手に呪術高専に入れてしまうとは”
苛立たしげな声で、そいつらは言った。
放っておくほうが危ないに決まってるだろうに。
“だから、呪霊はこちらが手を出さない限りは大人しくしててくれるんです。何も問題ありません”
“ふざけるのも大概にしていただきたい。ずっとそうであるとは限らないだろう”
“それに、軽傷の被害者も出ていると聞いた”
“それは特級の強い呪力にあてられたか、呪霊の地雷を踏んだかでしょう。
そもそも祓おうとしたところで強すぎて祓えない。
反撃されたら、それこそ呪術師全滅どころか街がひとつ簡単に消えますよ”
“それなら彼女を秘匿死刑に____”
相変わらず怖いものは消しておきたいという思想らしい。
ため息が出かけた。
不確定要素の多いことが嫌いな上層部の事だから、乙骨の件と似たケースである今回は前例があるからとあっさり受け入れてくれるんじゃなかろうか。
…そんな風に、ほんの僅かにでも期待していた僕が馬鹿だったようだ。
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加糖雪(プロフ) - ねむさん» ありがとうございます!続編でもよろしくお願いします〜! (2022年2月11日 4時) (レス) id: 7edce3b0d6 (このIDを非表示/違反報告)
ねむ - ひぇ〜!また更新されておる〜!!めちゃくちゃ良いデス!自分のペースで続編よろしくお願いします (2022年2月7日 22時) (レス) @page43 id: 38d2d0b865 (このIDを非表示/違反報告)
加糖雪(プロフ) - ねむさん» ねむさんコメントありがとうございます!面白いですね〜どんな風に強くなっていくか、今後の展開に期待していただければと思います! (2022年2月7日 9時) (レス) @page42 id: 7edce3b0d6 (このIDを非表示/違反報告)
ねむ - 夢主、絵が命かけれるほど大好きなんですね!えと、絵を破かれたりしたら強くなる…みたいなことを妄想しました(><#) (2022年2月5日 20時) (レス) @page35 id: 38d2d0b865 (このIDを非表示/違反報告)
加糖雪(プロフ) - るきー流季ーさん» るき―流季―さんコメントありがとうございます!絵師を目指していらっしゃるんですね。この作品をもって私も読んでくださる方を応援できるように頑張ります! (2022年1月30日 22時) (レス) @page23 id: 7edce3b0d6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:星藍 海 | 作成日時:2022年1月20日 1時