2 夕方が消えた ページ4
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夕方が消えた。
と、頭に浮かんだ感想に、小説でしか読まないような言い回しだなと心の中でツッコんだ。
スマホで現在の時刻を確認する。
4時40分。
「…?」
おかしい。
外が真っ暗なのだ。
この時期のこの時間にこんなに外が暗いのはおかしい。
天気が悪かったというわけでもない。
天気予報は明日までずっと晴れだったと思うし…
美術室の窓に近づいて、外を見渡す。
そこでますます不安になった。
雨が降りそうなら今日は部活を切り上げて帰ろうかと思ったが、空模様は“天気が悪い”ではなく“夜”なのだ。
夜の暗さ。
夕方をすっとばして、夜になっている。
廊下の方からガタンッと大きな物音がした。
思わずそちらに体を向ける。
過ぎったのは美術室の噂。
まさかそんな。
エプロン姿で筆とパレットを持ったまま、恐る恐る廊下へ出る。
直後、ドオオオン!と大きな音と同時に揺れた。
「じ、地震……?」
どうしたらいいか分からずにいると、男の子の声が響いてきた。「おっ、こっちっぽい!」
こちらへ近づく足音。
廊下の先の角から姿を見せたのは、見慣れない学ランを着た短髪の男の子だった。
「ってあれ?!まだ人が…」
私の姿をみとめると、驚いた顔をした。
先程聞こえた声の主で間違いはなさそうである。
にしても、うちの制服ではない。
学ランの中の赤いフードを揺らしながらこちらに駆け寄ってきて、更にこちらに話しかけてきた。
「君、大丈夫?怪我してない?」
咄嗟に言葉が出なくて、縦に首を振って答えた。
そしてちらりと美術室の方を見やり、その顔を強ばらせた。
「っと、そうだなあ…とりあえ」
ズドオ「ずっ」「っわ、!?」オオオオン!
また大きな音がしてさっきよりも大きく揺れた。
この音と揺れは下の階の方からしている。
ここより下の階で何かが起きている…?
「すみません、これは一体、」
「ごめん、その説明は後でもいい?」
「え?」
階段を駆け上がる足音が聞こえてきて、その人と一緒にそちらへ視線をやる。
と、今度は階段の下から黒髪の男の子が現れ、迷わずこちらに走ってくる。
「虎杖」
「伏黒!」
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加糖雪(プロフ) - ねむさん» ありがとうございます!続編でもよろしくお願いします〜! (2022年2月11日 4時) (レス) id: 7edce3b0d6 (このIDを非表示/違反報告)
ねむ - ひぇ〜!また更新されておる〜!!めちゃくちゃ良いデス!自分のペースで続編よろしくお願いします (2022年2月7日 22時) (レス) @page43 id: 38d2d0b865 (このIDを非表示/違反報告)
加糖雪(プロフ) - ねむさん» ねむさんコメントありがとうございます!面白いですね〜どんな風に強くなっていくか、今後の展開に期待していただければと思います! (2022年2月7日 9時) (レス) @page42 id: 7edce3b0d6 (このIDを非表示/違反報告)
ねむ - 夢主、絵が命かけれるほど大好きなんですね!えと、絵を破かれたりしたら強くなる…みたいなことを妄想しました(><#) (2022年2月5日 20時) (レス) @page35 id: 38d2d0b865 (このIDを非表示/違反報告)
加糖雪(プロフ) - るきー流季ーさん» るき―流季―さんコメントありがとうございます!絵師を目指していらっしゃるんですね。この作品をもって私も読んでくださる方を応援できるように頑張ります! (2022年1月30日 22時) (レス) @page23 id: 7edce3b0d6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:星藍 海 | 作成日時:2022年1月20日 1時