― ページ30
「っは……はあ…………つ、疲れた…!」
両膝に手を当てて、じめんとにらめっこしながらぜえはあ息を切らす。
そんな中ちらりと目線だけ動かして、目の前の恵の顔を盗み見た。
動き続けてへとへとな私に対して、恵は呼吸ひとつ乱れておらず、それどころか顎に手を当てて何かを真剣に考え込んでいる。
そこに悠仁と野薔薇が近づいてきた。
「A〜!休憩にしようぜ!」
「飲み物買ってきたわよ」
はい、と野薔薇にスポーツドリンクのペットボトルをこちらにかるく放られる。
「わっ、と、ありがとう」
キャップを捻るとパキッと音がして、冷たいドリンクを口に含んだ。
3口ほどその場で飲んでから、私は土手に座って休ませてもらうことにした。
「はあ、よいしょっと」
先程まで悠仁と野薔薇の座り込んでいたあたりに腰を下ろす。
見ていると、今度は3人で鬼ごっこか何かを始めたのか、追いかけ追い回され…というようにあたりを走り出した。
身体に疲れが滲むのを感じて、明日は筋肉痛だなあ、とか思いながら私はその辺に放っておいたクロッキー帳を手に取った。
ペンケースの蓋を開け、中から4Bの鉛筆を取り出す。
デッサン用にカッターで削って、普通よりも芯を長く尖らせたやつだ。
クロッキー帳の真っ白なところを開き、顔を上げる。
目の前で3人がせっかく動き回ってくれてるし、人物クロッキーでもしようか。
動き回る対象を写し取るのはなかなか良い練習になるだろう。
まずは悠仁。
背中は真っ直ぐ。足は胸の辺りまで上がっていて、振っているその腕も高く上がっている。
少し遠くで、しかも物凄い速さで走る悠仁のその一瞬を目に焼き付け、およそ30秒でざっくりと人体の形をとった。
次に恵、それから野薔薇。
悠仁を描いた隣に2人も同じように描いていった。
728人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
加糖雪(プロフ) - ねむさん» ありがとうございます!続編でもよろしくお願いします〜! (2022年2月11日 4時) (レス) id: 7edce3b0d6 (このIDを非表示/違反報告)
ねむ - ひぇ〜!また更新されておる〜!!めちゃくちゃ良いデス!自分のペースで続編よろしくお願いします (2022年2月7日 22時) (レス) @page43 id: 38d2d0b865 (このIDを非表示/違反報告)
加糖雪(プロフ) - ねむさん» ねむさんコメントありがとうございます!面白いですね〜どんな風に強くなっていくか、今後の展開に期待していただければと思います! (2022年2月7日 9時) (レス) @page42 id: 7edce3b0d6 (このIDを非表示/違反報告)
ねむ - 夢主、絵が命かけれるほど大好きなんですね!えと、絵を破かれたりしたら強くなる…みたいなことを妄想しました(><#) (2022年2月5日 20時) (レス) @page35 id: 38d2d0b865 (このIDを非表示/違反報告)
加糖雪(プロフ) - るきー流季ーさん» るき―流季―さんコメントありがとうございます!絵師を目指していらっしゃるんですね。この作品をもって私も読んでくださる方を応援できるように頑張ります! (2022年1月30日 22時) (レス) @page23 id: 7edce3b0d6 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:星藍 海 | 作成日時:2022年1月20日 1時