12 恵先生 ページ29
「恵、それは…?」
「玉犬だ」
「ぎょくけん……」
恵が自身の手を組むと、犬が現れた。
墨のように黒い毛並みで、額に紋様が刻まれている。
犬…らしいが、爪も鋭く、見た目は狼に近い。
「俺の術式で召喚した、式神だ」
「呪力ってそういう使い方もできるんだ」
「十種影法術と言って、影を媒介にしている」
「へえ〜」
「俺ら暇んなっちゃったな」
「なんかアイツAに得意気じゃない?」
「そうか?」
「俺一人に任せろ、とか張り切っちゃって…」
コーチ役を恵にバトンタッチした悠仁と野薔薇は、土手になっているところで座りこみ、駄弁ってこちらを眺めている。
「虎杖たちとやってたのを見る限り、まあ…やっぱり基本が危ういな」
「うっ……はい…」
「今日が初日だから仕方ないとして、それとは別に、センスはありそうだ」
「え、ほんと?」
「…虎杖相手にフェイントをかけようとした点は…良かったと思う」
なんとなく気恥ずかしくなって、「当然ながら失敗しちゃったけど」と誤魔化すようにはにかむ。
「体術の基本に加えて、少しずつ呪力の使い方も教える。頑張って着いてこい」
「はいっ、恵先生!」
「…先生はやめてくれ…」
そうして恵と一対一での練習が始まった。
玉犬は転びそうになった時には体を支えてくれ、さらにしばらくして動きに少し慣れてくると、恵と一緒になって攻撃してくるようになった。
恵は教え方も指示も的確で分かりやすい。
お陰で教えられた受け身と、予備動作を見てある程度の攻撃は避けることがなんとなくできるようになった。
と言ってもまだまだ手加減されているのだろうが。
どのくらい時間が経ったか。
いくら動いても恵はその涼しい顔を崩さない。
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加糖雪(プロフ) - ねむさん» ありがとうございます!続編でもよろしくお願いします〜! (2022年2月11日 4時) (レス) id: 7edce3b0d6 (このIDを非表示/違反報告)
ねむ - ひぇ〜!また更新されておる〜!!めちゃくちゃ良いデス!自分のペースで続編よろしくお願いします (2022年2月7日 22時) (レス) @page43 id: 38d2d0b865 (このIDを非表示/違反報告)
加糖雪(プロフ) - ねむさん» ねむさんコメントありがとうございます!面白いですね〜どんな風に強くなっていくか、今後の展開に期待していただければと思います! (2022年2月7日 9時) (レス) @page42 id: 7edce3b0d6 (このIDを非表示/違反報告)
ねむ - 夢主、絵が命かけれるほど大好きなんですね!えと、絵を破かれたりしたら強くなる…みたいなことを妄想しました(><#) (2022年2月5日 20時) (レス) @page35 id: 38d2d0b865 (このIDを非表示/違反報告)
加糖雪(プロフ) - るきー流季ーさん» るき―流季―さんコメントありがとうございます!絵師を目指していらっしゃるんですね。この作品をもって私も読んでくださる方を応援できるように頑張ります! (2022年1月30日 22時) (レス) @page23 id: 7edce3b0d6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:星藍 海 | 作成日時:2022年1月20日 1時