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「んで、ここでパンチをどーんと……」
「えっ、と、こう?」
悠仁と向き合って、腕の位置を直されながら言われた通りに動いていく。
しかし、言うことが抽象的でなかなか難しい。
「A、脇締めて」
「!」
それをカバーするように横から野薔薇が細かい部分を指摘してくれる。
恵はずっと何か考えるようにこちらを見ているだけだ。
腕や足の位置、体の軸を悠仁に教えられ、良くない点を野薔薇にビシバシ指摘され、そうやってしばらくそれを繰り返し、少し疲れてきた頃。
「そしたら、俺と1回やってみるか」
「え?何を…」
「…サシで勝負?」
「私死なない…?」
「だいじょーぶだいじょーぶ!ちゃんと手加減するし、Aがどんくらいできるのか見るだけだから」
「は、はあ……」
少し休憩したいところだが、言い出す前に「頑張れ〜A!」と少し離れたところから野薔薇が野次を飛ばして来るのが先だった。
悠仁と距離をとり、向かい合う。
青い空。今日はいい天気だ……とまだ余裕のある頭のどこかで思う。
が、次第に緊張感が走ってくる。
この間合いを先に詰めるのは私か、悠仁か。
「…ッ」
向こうが攻撃してきたのを避けきれる気がしない。
そう判断して、私は悠仁に向かって真っ直ぐ走った。
まずは左で攻撃をして、
「おっ、いい感じ。でもスピードはまだまだかなあ」
ぱしっ、とあっさり受け止められてしまったが、予想の範疇内だ。
これで隙ができたはず、とすかさず右の拳を飛ばす。が。
「ん」
「あ」
手首を掴まれてしまった。
慌てて後ろに引こうとするが、そこには悠仁の足が用意したように伸ばされていて躓き、後ろに重心が傾く。
「っ!」
そのまま尻もちをついてしまい、目の前には右手を振り下ろす悠仁の姿。
そんな簡単にうまくいくはずないよなあと改めて噛み締めながら、攻撃が来るのを待っていると、私の後ろで素早く何かが動く気配があった。
「はいっ、チョップ____」
その手の振り下ろす速度をゆるめ、私の頭に優しめのチョップをキメようとした悠仁の手が触れるほんの直前。
その間0.5秒。
「虎杖!!」
恵の叫びも虚しく、
「ッぐあ!?!??!?」
「ゆ、悠仁!!!」
呪霊の頭突きが悠仁に炸裂した。
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加糖雪(プロフ) - ねむさん» ありがとうございます!続編でもよろしくお願いします〜! (2022年2月11日 4時) (レス) id: 7edce3b0d6 (このIDを非表示/違反報告)
ねむ - ひぇ〜!また更新されておる〜!!めちゃくちゃ良いデス!自分のペースで続編よろしくお願いします (2022年2月7日 22時) (レス) @page43 id: 38d2d0b865 (このIDを非表示/違反報告)
加糖雪(プロフ) - ねむさん» ねむさんコメントありがとうございます!面白いですね〜どんな風に強くなっていくか、今後の展開に期待していただければと思います! (2022年2月7日 9時) (レス) @page42 id: 7edce3b0d6 (このIDを非表示/違反報告)
ねむ - 夢主、絵が命かけれるほど大好きなんですね!えと、絵を破かれたりしたら強くなる…みたいなことを妄想しました(><#) (2022年2月5日 20時) (レス) @page35 id: 38d2d0b865 (このIDを非表示/違反報告)
加糖雪(プロフ) - るきー流季ーさん» るき―流季―さんコメントありがとうございます!絵師を目指していらっしゃるんですね。この作品をもって私も読んでくださる方を応援できるように頑張ります! (2022年1月30日 22時) (レス) @page23 id: 7edce3b0d6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:星藍 海 | 作成日時:2022年1月20日 1時