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やって来るのは必ず10代前半くらいの女であった。
妖術は本人の意志とは関係なしに行使され、その効果は毒のように振り撒かれる。
最初の一人を除いた五人の中には、自分の妖術を利用し忍たまを思うように動かして遊び呆けていた者もいたらしい。
忍たまというのは、つまり「忍者の」たまごだ。
男だ。
沢山の男に無条件に好かれる。
得られる優越感。
それでいい気になって、ただ自分の欲を満たしたくて体の関係を……なんて、ことももしかしたら…
(考えるのやめよう、これ…)
天女様が来れば、自分たちは知らない間におかしくなる。
忍たまたちは天女様をひどく恐れるようになった。
妖術が使われる前に、忍たまたちには天女様と会うことを禁止したり、天女様がやってきたらすぐに忍たまたちと隔離したりとできる限りの対策は取ったが、どれも効果はなかったらしい。
むしろ何をやってもどこかで計略が綻び、学園崩壊の道筋を辿る。
必ず誰かが妖術にかかり、感染症のようにそれは広がってゆく。
まるでそうなる事は決められていて、どうしても避けられないことだと見せつけられているようで不気味にさえ思えた。
天女様を殺してしまえばいいとも考えられたが、それはすぐに却下された。
仮にも「天女様」なのだ。
向こうは力を持っている。本当に天界の女官かもしれない。
殺すことは許されない。
不躾な態度も許されない。
そんな事をすれば、どんな罰が下るかわからない。
そう考えた忍術学園の人たちは、やって来たのがどんなに性格の悪い少女でも「天女様」と呼んで敬った。
ある程度の期間をやり過ごせば、天女様は必ず帰るから。
それまでは学園内で崩壊が起きようとも、それを最小限に抑えながらただ耐えるしかない。
「妖術にかかるのは忍たまだけじゃ。
しかし、天女様が帰ると忍たまではない我々も、天女様と天女様のいた頃の記憶は朧気になってしまう。
故に天女様についてのことは未だによく分かっていない」
話を聞きながら、ふと部屋の柱に鋭いもので切りつけたような傷があるのを見つけた。
きっとこの場所でも、かつての天女を巡る争いが起きていたのだろう。
(今の話は嘘じゃない、のか……)
想像したらゾッとした。
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加糖雪(プロフ) - まぶぴちょこさん» ありがとうございます!( ; ; )以前にもコメントくださっていたまーぶりんさんですよね…?!コメントとっても支えになってます…!とっても嬉しいです。 (2022年11月6日 0時) (レス) @page45 id: 7edce3b0d6 (このIDを非表示/違反報告)
まぶぴちょこ(プロフ) - 受験お疲れ様です!!大変な時期なのに更新ありがとうございます( ◜_◝ )無理せず自分のペースで頑張ってください…! (2022年11月5日 16時) (レス) @page45 id: 045921842f (このIDを非表示/違反報告)
加糖雪(プロフ) - 小桜さん» 小桜さんコメントありがとうございます!天女ものは色々なパターンがありますが、自分が新しく書くならどういうものがいいだろうと試行錯誤して書いているのでそう言っていただけて嬉しいです(*´-`*) 更新頻度は低めですが今後もよろしくお願い致します…! (2022年1月7日 20時) (レス) id: 7edce3b0d6 (このIDを非表示/違反報告)
加糖雪(プロフ) - まーぶりんさん» まーぶりんさんコメントありがとうございます!繰り返し読んでいただいているようで本当に嬉しいです…!応援ありがとうございます。頑張ります! (2022年1月7日 20時) (レス) id: 7edce3b0d6 (このIDを非表示/違反報告)
加糖雪(プロフ) - 羽場さん» 羽場さんコメントありがとうございます!設定を気に入っていただけて嬉しいです。ゆっくりとですが更新していきますのでよろしくお願い致しますm(_ _)m (2022年1月7日 20時) (レス) @page34 id: 7edce3b0d6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:加糖 雪 | 作成日時:2021年7月12日 23時