32 「ワシらでしっかりお守りせねば。」 ページ36
おほん。
大川さんが咳払いをすると、差し水をしたように先生方全員の落ち着かない雰囲気が少し緩和された。
視線が一斉に大川さんの方へ集まる。
「わしらの天女様に関する記憶が消えかけているせいもあるが…Aの妖術はついては未だ分からないことだらけじゃ」
改めて言葉にされると先の見えなさに打ちのめされる。
「忍たまと出会うとAは妖術にかかり、忍たましか見えなくなってしまう。しかし引き離して時間をおけばこのように妖術が解ける…」
(まあ…そうだな)
妖術が解けるという点においては前までの天女と比べてまだ安全かもしれない。
(…ただ、解ける条件が分からないのが気がかりだが…)
周りに迷惑かけること間違いなし、加えて俺の尊厳に関わるのでできればもう二度と妖術にかかりたくはない。
「これまでの天女様とは違っておる。様子を注意して見なければならない。
また、これによって忍たまたちに及ぶ影響はこれまでより少ないと思われる。じゃが、その分天女様…Aへの負担が大きくなる。
今回は運良く妖術が解けただけやもしれん。
彼___Aは、ワシらでしっかりお守りせねば。
ワシも尽力する。先生方、頼んだぞ」
はい、とその場にいる全員が寸分のズレもなく綺麗に声を揃えた。
おっ、と俺は内心圧倒される。
統率の取れた様が流石忍者、といったところだろうか。
「今回の天女様の担当は土井先生と山田先生に引き続きお願いしようと思う」
土井さんと山田さんが「はっ」と短く返事をする。
「それでは会議はこれまで。解散じゃ」
大川さんのその言葉で会議はお開きになった。
先生方は続々と部屋を去っていく。
(俺はこの後どうしたらいいんだ…)
人が減っていく中、立ち上がるタイミングが掴めず動けない。
「天…いや、違った。Aさん」
「はい」
顔を上げると、声をかけたのは山田さんのようだった。
隣には土井さんが一緒だ。
「これからAさんにこれから使ってもらうお部屋に案内しようと思うんだ」
「わ、わかりました」
俺は立ち上がって、2人と一緒に部屋を出た。
足の感覚が薄い。
ずっと正座していたからか、足が痺れる直前のあの、少しだけぴりついた状態になってしまっている。
思い切り痺れて歩けないよりはまだ歩ける。
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加糖雪(プロフ) - まぶぴちょこさん» ありがとうございます!( ; ; )以前にもコメントくださっていたまーぶりんさんですよね…?!コメントとっても支えになってます…!とっても嬉しいです。 (2022年11月6日 0時) (レス) @page45 id: 7edce3b0d6 (このIDを非表示/違反報告)
まぶぴちょこ(プロフ) - 受験お疲れ様です!!大変な時期なのに更新ありがとうございます( ◜_◝ )無理せず自分のペースで頑張ってください…! (2022年11月5日 16時) (レス) @page45 id: 045921842f (このIDを非表示/違反報告)
加糖雪(プロフ) - 小桜さん» 小桜さんコメントありがとうございます!天女ものは色々なパターンがありますが、自分が新しく書くならどういうものがいいだろうと試行錯誤して書いているのでそう言っていただけて嬉しいです(*´-`*) 更新頻度は低めですが今後もよろしくお願い致します…! (2022年1月7日 20時) (レス) id: 7edce3b0d6 (このIDを非表示/違反報告)
加糖雪(プロフ) - まーぶりんさん» まーぶりんさんコメントありがとうございます!繰り返し読んでいただいているようで本当に嬉しいです…!応援ありがとうございます。頑張ります! (2022年1月7日 20時) (レス) id: 7edce3b0d6 (このIDを非表示/違反報告)
加糖雪(プロフ) - 羽場さん» 羽場さんコメントありがとうございます!設定を気に入っていただけて嬉しいです。ゆっくりとですが更新していきますのでよろしくお願い致しますm(_ _)m (2022年1月7日 20時) (レス) @page34 id: 7edce3b0d6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:加糖 雪 | 作成日時:2021年7月12日 23時