【ホームレス】 ページ25
僕の住んでいるこの村には、
サンタさんがいる。
細いけど優しいおめめ。
太ってる大きな体に大きな手。
立派なおひげは真っ白じゃなくて薄汚れて灰色なのが残念。
前は段ボールの小さなお家に住んでた。
今は大きな杉の木の隣に家がある。
それも赤レンガのかわいいお家。
お仕事を頑張るとお家を作れるらしい。
トナカイは住んでなさそう。
そんなサンタさん、モノを届けるお仕事をしてる。
トナカイよりも大きな大きなトラックに乗ってプレゼントを運んでくる。
クリスマスじゃなくても忙しそう。
それから、サンタさんって呼んじゃいけないらしい。
正体がバレたらいけないからね、とサンタさんは言うけど、この村の皆は知ってる。
そして、今年もクリスマスがやってきた。
サンタさんが一番忙しい日。
聞き慣れたクラクション音。
窓から覗くとナカイ宅急便のトラック。
「あ、三田さんお疲れさまです」
玄関から出てくるお母さん。ほら、やっぱり名前バレてるよサンタさん。
「お届け物です。ここに印鑑お願いがします」
「今日は大雪なのに大変ですね」
「イブですから」
それではとトラックに乗り込むサンタさん。
トラックが見えなくなるまで見送り、下の階に降りる。
「ママー何貰ったの？」
「大きなケーキよ」
「チョコ？」
「あなたの好きなチョコとママの好きなショートケーキが半分っこになってるのよ」
「おトクって感じするね」
「何処で覚えてきたのかしら」
さて、ご飯の準備してくるわとママはキッチンに消えた。
夜、少し早いクリスマスプレゼントを貰った。
それにサンタさんからのお手紙も。
お礼の手紙を書かなきゃ。
Next.
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