雪男の紅一点は愛されてる-3-

TGC ページ15

渡辺翔太side



サマパラが終わり、最後の少年たちが始まった。



そして今日は、TGCに出演する。



Aはモデルとしてのランウェイもあるから男9人で、楽屋待機。



『翔太っ！』



ドアを勢いよく開ける音と、俺を呼ぶ声。



渡辺「っ！...なに？」



入口には、恐らくランウェイ用の衣装かな？白いモコモコのアウターにチェックのタイトスカート姿のA。



可愛い。



普段はメンズっぽい感じが多いし新鮮。



『翔太来て！！』



感想を言い始める前に、俺は手を掴まれ廊下を走った。



「ちょ...なに、急に。」



着いたのはステージ裏。



『いいからとりあえずこれ着て！話はメイク中にする！』



よくわかんないけど、更衣室に放り込まれ渡された袋の中を見ると、Aが着てた白のモコモコとチェックのパンツなど、？



着ろと言われたから、着るしかないしな。



着替え終えて、Aの前に出ると



『うん、完璧。じゃ、メイクしよっか。メイクさんお願いします。私髪やるんで。』



次は鏡の前に座らせられ、...ってどういう状況？



「ねぇA、どういう...。」



『みんなには言ってなかったけど、私が出演するの秋冬カップルコーデの枠なの。で、彼氏役のモデルさんちょっと出れなくなっちゃって。』



カップルコーデ...？



『代役、ウチから出せないか？って言われて。だから翔太頑張ろ。』



「ちょっと待って？パニックだわ。」



『とりあえず、ランウェイ一緒に歩いてくれればいいから。』



俺、彼氏役...？



ほんとに時間ギリギリだったらしく、直ぐにステージ袖にスタンバイ。




『普通に真ん中まで歩いていって、ちょっとカレカノっぽいことして戻ってくるだけ。おっけ？』



「お、おう。」



『...ごめんね、翔太の気持ち知っててこれ言うの最低だと思う。』



「や、なに？」



『この時間だけ、私の彼氏になってください。』



「ふはっ！いいよ(笑)」



少しでもAのためになれるなら、利用されようがなんでもいい。



って思うタイプじゃなかったんだけどな。



まぁ、この時間だけ全力で彼氏になるよ。

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