Protect his loved ones (ページ16)

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kj 「…しょった？」
iw 「今度こそは本当に処刑されたな…」

場がかなり重い空気に包まれる。

iw 「はい、俺狂人」

その空気を破るかのように手を挙げた岩本は、何かを逡巡したあとのような決心した表情だった。

kj 「え、照にぃ…？狂人なん…？」

怯える向井の肩を、深澤がそっと抱き寄せる。

sk 「っと！人狼の人手ぇあげて！」

と朗らかに告げた佐久間は、自ら右手を大きくあげる。

fk 「やっぱりお前…変だとは思ってたんだよ」

深澤の鋭い目線を佐久間はおどけた顔で返す。

「ねぇ、ふっかさん、康二くん、」
ru 「僕もだよ？」

深澤と向井が振り返った先に居たのは、兄を殺されて復讐に燃えていた弟ではなく、ただただ美しい不敵な笑みを浮かべるだけのラウールだった。

kj 「え、ラウ？ラウ…壊れてもうたんとちゃうの…？」

未だにこの状況を理解出来ていない向井に、深澤が残酷な事実を伝える。

fk 「康二…俺ら2人の周りに居るのは、みんな敵だ。」

やっと状況を把握した向井は、信じたくないとでもいうように頭を抱える。

kj 「みんなどうしちゃったん！照にぃもさっくんもラウもおかしいで！みんなもっと仲間想いで、もっと優しかったやん！」

そう叫ぶなり泣き出してしまった向井を、深澤が抱きしめる。

fk 「お前ら…今日は康二に投票しろよ？」
sk 「は？ふっかだけ助かろうとでもしてんの？」
fk 「ちげーよ、死ぬ時1人は寂しいだろ？康二の隣には俺が居てやるから」

そう言いながら向井の頭をよしよしと撫でる姿はまるで父親のようだった。

kj 「うぅ…ふっかさぁん…」

『タイムオーバーです。それぞれ、疑わしき人物に薔薇を渡してください。』

sk 「佐久間さんさすがにこれから死んじゃう人のお願い聞けないほど酷い人じゃないから！」
ru 「康二くん、バイバイ」
iw 「…ごめんな」

嬉々として投票する者と、誰がどうなろうと特に興味無さそうな者と、罪悪感を抱いている者、三者三様だ。

fk 「ラウ、お前がそんなやつだとは思ってなかったよ」
ru 「えー、そう？僕ずっと前から変わってないと思うんだけどなー？」

飄々としたラウールは何が悪いのか全く分からない、とでもいう顔をしている。

kj 「…さっくん…これ、夢やんな？」
sk 「大丈夫だよ、康二はこれから辛い現実じゃなくてずっと楽しい夢だけを見てられるから！」

『投票が完了しました。本日の処刑者は向井さんです。処刑されるまで、残り1分です。』