果物男子｡

＊ ページ8

｢ハーイAちゃんざーんねん｡1個間違ってるよー｣



さっきの先生にムカついて数学の参考書に目を通していると､

私の右手にさっき解いた小テストが先生の楽しそうな声といっしょに乗せられた｡

声のする方を向けば､中島先生が私の顔をしっかり見ながら満面の笑みを浮かべてる｡





…少し顔があつくなってしまった｡






テストを間違えた悔しさと､感情を素直すぎる自分への恥ずかしさで､


思わず目を逸らして､口を尖らせた｡





｢ってことで罰ゲームねー｣

｢っええ！？聞いてませんよ！！｣

｢だって今言ったもーん♡｣




てへ､と先生はウィンクしながら笑った｡





すっごく腹立つ｡そして今きゅんとした自分にも腹が立つ｡






｢……ハァ､で？罰ゲームってなんですか？｣






ここまでくるともうため息しか出てこない｡
恨めしそうに先生の方を向いた｡





｢んー､どーしよっかなー｣





…決まってないんかい！！





先生はわざとらしく腕を組んで､ニヤニヤしながら悩んでいる｡




罰ゲームで目を輝かせながら悩んでいる先生を見ていると先生が大学生だって忘れちゃう｡




気分はまるで､小学生の弟の面倒をみるお姉ちゃんだ｡






｢あ､そーだ！！｣





先生が何か思いついたように手のひらをポン､と叩いた｡






｢Aちゃんさぁ､｣


｢オレのこと名前で呼んでよ｡｣

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