果物男子｡

＊ ページ5

なんでバレてるの？







頭の中にはそれしかなくて｡









そんなに顔に出てたかな｡






そう考えるとものすごく恥ずかしい｡









…あぁもうどうすれば｡









薄暗いグランドでぼーっと突っ立ってた｡

暗くて怖いなんて､忘れてた｡






｢あ､いた｡Aちゃーん！！｣







後ろから声がして振り返ったら､勝利先輩が笑顔で駆け寄って来た｡



手には見覚えのある赤いラインが入ったタオルが握られていた｡






｢タオルあったわ｡風で飛んだみたいでさ｡｣







探したなーって苦笑い｡




かっこいい｡かっこいいんだけども｡





｢あ､はい｡良かったデス｡｣






うわぁカタコトになっちゃった｡


どうしよう目が合わせられない｡


目が泳ぐ｡挙動不審だ｡





…顔が､熱い｡








｢どしたのAちゃん｡顔赤いよ？｣


｢え？あ､えと､大丈夫デス｡｣




あぁまたしてもカタコトに｡





｢いや大丈夫じゃないでしょ｡｣









あははって勝利先輩が笑った｡









｢ほんとにAちゃん大丈夫？｣









心配そうに勝利先輩がわたしの顔をのぞき込んできた｡








心配してもらってありがたいけど、









今そんなことされたらわたしの心臓がもたない｡








ドキドキしすぎて顔だけじゃなくて耳も熱くなってきた｡









思わず後ずさり｡








少しびっくりした顔してた｡









｢だ､大丈夫です！あの時間なので帰ります｡お疲れ様でした！！｣







今度はバカデカイ声｡



もう恥ずかしすぎる｡









｢おう､お疲れ｡｣









勝利先輩は､きょとんとしてた｡



びっくりさせてごめんなさい｡









ずっと一緒にいたいって





いつもは思ってるのに｡














今日は､今日だけは｡









勝利先輩と一緒にいたくなくて､走って逃げた｡

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