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｢はい､今日はここまで…｡って違うか｡もうAちゃん家来るの最後かー｣
健人先生が過去問題を片付けながら言った｡
｢そうですね｡ありがとうございました｡｣
私はペコリと頭を軽く下げた｡
｢いやーAちゃん飲み込み早くて教えがいあったわー｣
健人先生が両腕を上に上げ伸びをすると､左手首から覗くブレスレットがキラリと光った｡
…あれ知ってる｡モチーフを重ねるとハート型になるペアブレスレットだ｡
そんな現実を見たくなくて､目をそらした｡
すると目の前に果汁100％のグレープフルーツジュースが現れた｡
持ち主に目をむけると､満面の笑み｡
｢3ヶ月よくがんばりました｡受験本番もがんばってね？未来の後輩の鈴本Aさん｡｣
はい､と先生が手渡した｡私はそれを苦笑いで受け取った｡
先生､ごめんなさい｡
｢健人先生､私先生に話してないことが2つあるの｡｣
｢ん？どうした？｣
健人先生は私のタメ口に怒りもせず､優しく聞いてくれた｡
｢私､志望校変えたの｡もう未来の後輩じゃないの｡｣
｢そっか…｡やりたいこと見つけたんだね｡｣
｢うん､高校の先生になりたいと思って｡教育学部が充実してる大学にしたの｡黙っててごめんなさい｡｣
｢いいよいいよ｡Aちゃんが先生か…｡楽しみだなーがんばってね｡｣
｢うん｡あともう1つ…｡｣
ひざの上の両手をギュッと握りしめた｡
会えるのも最後だから｡
困らせるのも最初で最後だから｡
今この瞬間だけ､健人先生を私にちょうだい｡
｢私､健人先生が好き｡…好き､なの｡｣
健人先生は少し目を見開いて､悲しそうに笑った｡
こんなに好きなのに､そんな顔させてごめんなさい｡
ポロポロ､ポロポロ｡涙がこぼれた｡
別れの涙なのか､罪悪感の涙なのか､それとも…
もう､わかんない｡なんだか､考えたくない｡
健人先生は私の涙を親指で優しくぬぐって､私に微笑んだ｡
｢ありがとうAちゃん｡Aちゃんのこと､絶対忘れないからね｡｣
健人先生は私の額に軽くキスをして､行ってしまった｡
…額のキスは､友情のキス｡
グレープフルーツジュースのパックにストローをさして､一口飲んだ｡
爽やかで､甘酸っぱい｡でも､
｢…苦いよ｡健人先生｡｣
さようなら､健人先生｡さようなら､私の恋心｡
中島健人＝グレープフルーツ男子｡
甘酸っぱくて苦い､”失恋”の味｡
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桜色にゃんこ｡(プロフ) - ☆さん» ご指摘ありがとうございます！まったく気づかなかった…！さっそく直しますね！バンソウコは実は表現でした｡かわいいかなと思って…笑 見つけてくれてありがとうございました！気をつけます！これからもよろしくお願いします！ (2019年6月9日 16時) (
レス) id: df064b5f69 (このIDを非表示/違反報告)
☆ - ページ3【二年生にはネージャーの先輩がいないから】→マネージャーの先輩、 ページ6【バンソウコ貼っちゃって。】→バンソウコウ だと思います。 (2019年6月9日 14時) (レス) id: 44d28ad2ed (このIDを非表示/違反報告)
にゃんこ｡(プロフ) - SexyGirlさん» コメントありがとうございます！！感動していただけて嬉しいです｡ﾟ(ﾟ^o^ﾟ)ﾟ｡ (2015年6月22日 16時) (レス) id: 924590d4bc (このIDを非表示/違反報告)
SexyGirl(プロフ) - 健人くんファンだからなのか、健人くんのお話読んで泣きそうになりました!笑 学校で読んだので涙を堪えました笑 (2015年6月22日 13時) (レス) id: 016237a4bf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：桜色にゃんこ | 作成日時：2014年11月7日 19時
