貴方のために ページ44
貴方目線
ビーチや街などを歩き回っているうちに、太陽が海の向こうへ沈みかけていた
その景色を眺めるために、暁と並んでベンチに座る
A:キレイだね…
暁:あぁ…
A:こんなに綺麗な景色を、辛くて見たくないことを理由に、ずっと私は背いてた…
今思うと、本当に勿体無いことしてたね、私
今度からは、思う存分楽しむつもりだよ
暁:そうか
頷きながら、私の話を聞く暁
ずっと私ばっかり話していた
表情を変えながら頷く暁
…私といて、つまんないと思われてないだろうか?
A:…暁
暁:何?
A:その、私との時間…嫌じゃなかった?
暁:え?
A:ずっと私ばっかり話してたから…
言いたいことがあったんじゃないかなって…
暁:そんなことない
俺はAの話を聞くの、凄く楽しい
A:!…よかった
そう思われてなくて、安心した
ふと思い出し、上着のポケットに手を入れる
暁に見えない角度でポケットから手を出す
赤いハイビスカスの花のストラップが手のひらに乗っていた
散歩の途中、店に立ち寄ったときに買った
暁のために買ったストラップ
受け取ってもらえればいいけど…
勇気を出して、口を開く
暁/A:あのっ…!
同時に発して、顔を合わせる
A:あ、そっちから…
暁:いや、俺は後からでもいいから…
A:でもっ…
そんなやり取りが続いたが、私から話してほしいと暁に言われる
A:…じゃあ、これ、どうぞ…
ストラップを暁の手のひらに乗せ、渡す
A:暁のために、その…買ったの
思い出として、受け取って欲しくて…
暁:…
A:…どう、かな?
暁:ありがとう、凄く嬉しい
A:!ホント…?
暁:あぁ、大事にする
A:よかった…!
喜んでくれた…!
暁:次は俺だな
手、出して
A:うん…?
言われた通りに手を出すと、握られる
軽く驚いたが、そのまま冷静を装う
すると、手の上に暁の手が重ねられ、何か乗せられる
暁:はい、どうぞ
A:これって…
手のひらに乗っていたのは、プルメリアの花の髪飾りだった
暁:Aにピッタリだと思って…どうかな?
A:…ありがとう
凄く、嬉しい…!
暁:!喜んでくれて何よりだ
A:大事にするね
暁:あぁ
自由時間は、徐々に終わりに近づいていた
寂しく感じた
まだ…暁といたい
A:もう…戻らないと…
寂しく思いつつ、話す
暁:…A
もう少しだけ、一緒にいよう
A:!…うん
暁の言う通りに、自由時間ギリギリになるまで、暁と夕日を眺めた
本当に幸せ…
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作者名：華蓮 | 作成日時：2020年5月14日 0時
