振り回す ページ21
貴方目線
遊び続け、いつの間にか日が沈み、辺りは赤く染まっていた
真:そろそろ帰らないとね
祐介:あぁ、支度するか
杏:双葉も人混みで平気そうにしてたし、課題はクリアできたみたいだね
竜司:おい双葉、帰るぞ
突っ立ってないで手伝え
夕日をジッと見つめる双葉
するとそこにしゃがみこんだ
A:双葉?
どうしたの?
双葉:私ね…
私、ずっと、お母さんが死んだのは自分のせいだと思ってた…
竜司:あぁ…
双葉:皆、「私が殺した」って言うから
皆、私を人殺しだって思って見てた…
この世界が嫌いになった
だから殻に閉じこもって耳を塞いでた
私、願ってた
お母さんが生き返ればいいのにって
時々、起きて、全部、夢だったって思う
でも世界は変わっていない
だからまた眠る…
その繰り返し…
真:うん…
双葉の思うこと、痛いほどわかる
私も思っていたから
双葉:私、お母さんが好きだった
お母さんみたいになりたかった
遅くまで机に向かってたこと
朝早く起きて、毎日お弁当作ってくれてたこと
お母さんが頑張って研究をしていたこと
ノートをこっそり見て、怒られたこと
真:「認知訶学」だったわね
双葉:認知する世界は欲望によって歪んでしまう
その世界が歪むと、現実で問題行動を取るようになる
認知世界の核を取り除くと、その世界は消えて、問題行動も収まる
A:認知世界…パレスのことか
モルガナ:異世界!
知ってたのか
双葉:意味はわからなかったけど、実際、自分がそうなったことで理解できた
私、お母さんのことばっかり考えてた
気づけば、認知の迷宮に囚われていた
出られなくなっちゃった
自分でもどうしようもなくなってた
それで怪盗団に…
竜司:だから、心を盗めって?
色々、飛躍しすぎだろ!
双葉:心を盗む怪盗団の噂、最初は信じてなかった
でも偶然、聞こえてきた
すぐ近くに怪盗がいた
暁:聞こえてきた?…盗聴のことか
何故ルブランに?
双葉:そうじろうがしっかり働いているか、監視しておかないといけないからな
竜司:悪趣味な奴…
双葉:心を盗んだって話
聞いてて飛び上がるほど嬉しかった
怪盗なら、私の心を治せるかもしれないって
杏:最初からそう言ってくれればよかったのに…
双葉:いきなり頼んだら怪しまれるかもしれない
そもそも悪い奴かもしれない
だから慎重に接触した
どう反応するか、何度も確認した
A:まぁ、怪しまれればね…
真:えぇ、随分と振り回されたわ
アカウントを勝手に切られたりして、連絡がとれなかったで、色々と焦った…
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作者名：華蓮 | 作成日時：2020年5月14日 0時
