夜の昼寝 [on] (ページ6)

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薄荷キャンディ 1 ページ6

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ベランダを仕切る窓を開け放して、煙草を吸うのが好きだ。
縁に座って足だけ投げ出してふかすのも、柵に縋って飲むように吸い込むのも、いつも味が違う。智はそう考えていた。

浅葱色の箱にペンギンの影が描かれているリトルシガー。口をつける部分も同じ色で、名前の由来は「一つの恋を貫き通す」…… 北海道からはるばるやって来たミントの風味は、辛くて苦くて、暑い夏の匂いがする。

「おれのばっかり吸うなや」
「いいだろ、安モンなんだから」

吸いあいっこをしたとき和也のそれをすっかり気に入ってしまい、智はちょっとした隙に盗み吸いするようになった。
細い華奢なタイプの煙草だから、燃焼速度が速くすぐになくなってしまう。それを言い訳にごくごくと、肺に煙を落とし続けるのだった。

冬の終わりには似合わないくらいの熱いミント。

若い頃に感じていた悪いことをしているみたいな気持ちや、デカダンスの感覚さえないぐらいのヘビースモーカーになったのは自覚済みだったが、

肩を並べて同じ煙草を吸うときだけは、智をひどく泣きたい気分にさせる。すごく、悪いミントなのだ。

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